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ブラック企業の上司の多くに共通する「かくあるべし思考」 自分を犠牲にして我慢するほど人に厳しくなる典型的パターン

ムリな我慢を続けても、いいことは何も起こらない

 仕事で成果を出すためには、ある程度の我慢も必要ですが、自分が納得できないような我慢を強いられていると、体調を崩したり、メンタルに影響が出ます。

 我慢というのは、身体的にも精神的にも、いい影響が出ることは一切なく、逆に病気を引き起こす原因になります。人間はムリな我慢を続けると、ストレスが日を追って蓄積します。

 それが限界に近づくと、血圧や心拍数が上がり、意欲や好奇心、自発性が低下するなど、身体や心にダメージを与えます。ストレスが極限まで達すると、うつ病を発症することもあるのです。

 私はこれまで、そうした患者さんをたくさん診てきましたが、日本人がムリな我慢をしてしまう原因は、「結果」ではなく、「プロセス」を重視していることにあると考えています。

「我慢は美徳」とか、「真面目にやっていれば、必ずいいことがある。結果は二の次」と考えて我慢を続けていると、周囲に努力家とか、勤勉家と受け取られて、高く評価されます。結果で判断するのではなく、評価されることを求めてしまうから、余計にムリをすることになるのです。

 我慢の生活を続けても、自分の心と身体がボロボロになったのでは、何の意味もないだけでなく、元も子もありません。

 人生は今が大切で、結果がすべて……と割り切って考えることが大切です。

※和田秀樹・著『なぜか人生がうまくいく「優しい人」の科学』(クロスメディア・パブリッシング)より、一部抜粋して再構成

【プロフィール】
和田秀樹(わだ・ひでき)/精神科医。1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって、高齢者医療の現場に携わっている。主な著書にベストセラー『80歳の壁』(幻冬舎)、『70歳が老化の分かれ道』(詩想社)、『感情的にならない本』(新講社)などがある。

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