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台湾企業・TSMCが半導体ファウンドリーで「一強」になった経緯 世界中の企業が受注する理由と各国が警戒する依存リスク

TSMCの熊本第一工場(時事通信フォト)

TSMCの熊本第一工場(時事通信フォト)

TSMCだけにノウハウがある状態

 TSMCの創業は1987年。当時の半導体製造技術でトップに立っていたのは日本だった。TSMCがファウンドリーというビジネスモデルを始めたとき、日本の半導体業界では「あんなもの上手くいくはずがない」と否定的意見が大半だったという。だが結果は、見ての通りだ。

「TSMCは利益を設備投資に回して製造キャパを上げ、コストを下げるというサイクルを繰り返しました。回路線幅を微細化していくと膨大な開発費がかかり、最新装置への投資額も膨れあがっていく。いつしか他社は微細化のための投資負担に耐えられず、自前の開発が難航していった。

 そのなかで“うちがやります”とTSMCが手を上げた。いち早くファウンドリービジネスを始めたことで、TSMCだけにノウハウがあったんです。これにより世界中の企業がTSMCを頼り、微細な半導体製造をどんどん任せるようになりました。自社製造よりTSMCに依頼したほうが高精度なうえ、早くて割安という逆転現象まで起きた。こういうことを30年以上も繰り返して、TSMCは世界のトップに立ったのです」(同前)

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