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TSMCバブルに沸く熊本“台湾タウン”に潜入 「台湾人管理職の年収は2350万円」「残業しない日本人のシワ寄せが台湾人に」

スーパーでは台湾食材コーナーも充実

スーパーでは台湾食材コーナーも充実

「日本人は定時で帰る。そのシワ寄せが台湾人に」

 日本人がワーカホーリックと呼ばれたのは遠い昔で、今や働き方改革により残業しない人が増えている。

「同僚の日本人エンジニアは定時になると『帰りまーす』と言って仕事を残して帰っちゃう。そのシワ寄せが台湾人のほうに来るんです。日本人は勤勉で組織に忠実というイメージがあったのですが……」(同社関係者)

 台湾人の増加に伴い、地元では受け入れ体制が着々と整えられている。

 社宅近くのスーパーは、入り口に「歡迎光臨(いらっしゃいませ)」と大きく掲示してあり、店内には台湾食材コーナーを設置。ビーフンやゴマペーストなど専門店顔負けの約100種類の商品が並び、一部レジには翻訳アプリを搭載したタブレット端末も用意されている。

 工場近くのコンビニはレジ前に中国語の案内が書かれ、英字新聞も揃えていた。店員が言う。

「工場建設中の昨年は殺人的な忙しさで、バイトが辞めてしまうほどでした。工場周辺は“台湾ウォール”みたいに隔たりがあって、ウォールのなかはやたら景気が良いんです」

 TSMCの魏哲家(シーシーウエイ)CEOは4月6日、第2工場も菊陽町に建設すると明言した。もはやその経済効果にはくまモンもひれ伏す?

【プロフィール】
西谷格(にしたに・ただす)/1981年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。地方紙「新潟日報」記者を経てフリーランスとなる。2009年~2015年まで中国・上海に在住。『香港少年 燃ゆ』、『ルポ 中国「潜入バイト」日記』など著書多数。

撮影/西谷格

※週刊ポスト2024年4月26日号

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