順朗氏は今年66歳を迎えたこともあり、「社長になるなら今後数年以内だろう」(前出・全国紙経済部記者)との見方がされているという。順朗氏の副社長就任について同社に尋ねると、「グローバル成長戦略を通じたグループ事業規模の拡大および事業構造改革を推進するなかで全体に関する経営責任を担います」(広報センター)と回答した。
ただ、同社の今後の舵取りは簡単ではない。経済ジャーナリストの磯山友幸氏が語る。
「セブン&アイHDは、“モノ言う株主”から赤字が続くスーパーストア事業について厳しく追及されています。欧米の機関投資家は、創業家出身かは関係なく、経営者としての力量をシビアに見極めようとします」
4月、セブン&アイHDは、2027年以降にイトーヨーカ堂などスーパー事業の新規上場を目指すと発表。自社の経営資源はコンビニ事業などに集中させる戦略とみられる。
「創業家出身の順朗氏だからこそ、祖業であるスーパー事業からの完全撤退を含めた“さらなる大鉈”を振るえるとの見方もできる。大株主でもある創業家が経営トップに就くひとつのメリットは、長期的視点に立って会社や株主全体の利益を考えた経営が可能になることです」(磯山氏)
創業家が重大な経営判断を下すことになるのか。
※週刊ポスト2024年7月19・26日号