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東京大学の「学校推薦型選抜」に求められるハードルの高さ 共通テスト8割、探究学習の成果、校内の評価…「推薦入試は一般選抜より簡単」の誤解

悠仁さまの「トンボを題材とした学術論文」(はじめに)

悠仁さまの「トンボを題材とした学術論文」(はじめに)

難関校で常にトップクラスの生徒が推薦を断念したわけ

 そして、出願の条件も厳しい。学校長の推薦が必要で、共学の高校の場合、4人までいうことだから、校内での成績が良くないといけないし、キャラクター的にも教師たちの覚えめでたき品行方正な優等生である必要があろう。

 また、東大の各学部が示す「推薦要件」もなかなかのハードルの高さだ。たとえば、悠仁さまが進学を希望されるかもしれない理学部は「特に優れた成績や研究成果など」か、「科学オリンピックなどの各種コンテスト、科学雑誌などへの論文発表、ソフトウェア開発経験など」の実績を有することが推薦をされる要件となっている。ソフトウェア開発は「商品レベル」ともあり、高校生に求めるにはかなりのハードな条件といえよう。

「評定平均値いくつ以上」という出願条件はないが、実際にはかなり高い評定平均値が必要になるといわれている。「評定が4.5以上ないと東大の推薦は受からない」という話もあると私立校の関係者はいう。

 つまり、難関高校の中でも成績優秀かつ、探究学習や活動実績が立派な優等生という、ある意味“パーフェクト高校生”でないと東大の推薦は出願すらできないのが現状だ。

 実際に、毎年、何十人も東大に進学する難関校で成績が常にトップクラスで、東大に一般選抜で進学した学生はこう話す。

「周囲に『評定平均値も高いし、活動実績もあるんだから推薦を受けたら?』といわれて、調べたけれど、準備の手間に時間がかかるし、どこまでやったら合格するか分からないということもあって、学校に相談もしませんでした。一般選抜は模試を受けたら合格するか否かが分かるからずっと楽だと思いました」

 今回は東大の学校型推薦選抜がいかに難関かについて言及した。基礎学力があって、探究学習の実績がしっかりとあっても、学内の競争に勝てないと出願すらかなわない。

 その東大の推薦入試は今、受験の世界でどういう立ち位置にあるかについて次回、言及しよう。

第4回につづく第1回から読む

【プロフィール】
杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ)/ノンフィクションライター。2005年から取材と執筆活動を開始。『女子校力』(PHP新書)がロングセラーに。『中学受験 やってはいけない塾選び』(青春出版社)も話題に。『中学受験ナビ』(マイナビ)、『ダイヤモンド教育ラボ』(ダイヤモンド社)で連載をし、『週刊東洋経済』『週刊ダイヤモンド』で記事を書いている。

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