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和田秀樹医師が実践する“お金の使い切り”「老後リスクに怯えるあまり不要なお金を貯め込んで死んでいくことこそ不幸」

和田秀樹医師は「お金の使い切り」をどう実践しているのか(写真/共同通信社)

和田秀樹医師は「お金の使い切り」をどう実践しているのか(写真/共同通信社)

 もし老後資産が尽きてしまったら――そんな不安から節約や運用に精を出すばかりで一向に「使うこと」には意識が向かない。結果、そこそこの貯金を残したまま最期を迎えてしまう。自分の人生のために、もっとお金を使えたはずなのに……そうした後悔を残さないためには、生きているうちにどうお金を使い切るかが重要だろう。

 私生活で「お金の使い切り」を実践するのが、精神科医の和田秀樹氏(64)だ。好きなことに散財することは様々なメリットがあると和田氏は指摘する。

「たとえば食事。ある程度年齢を重ねたら摂生するよりお金を使ってグルメを楽しむ生活を送る方が栄養状態も良くなるし、免疫力も上がって病気を防ぐというのが私の考え。好きな食べ物を我慢してストレスを抱えるよりよっぽど健康的です。私は高いお金を払ってステーキをガンガン食べています」

 85歳以上の世帯金融資産の平均額は1500万円強にのぼる。だが老後の暮らしを心配して貯蓄や投資をしても、人はいつ死ぬか分からない。和田氏が続ける。

「認知症リスクがあるし、老後生活が計算通りに行くと考えるのは甘すぎます。人生における鉄則は“今がいちばん若い”。来年より今年、明日より今日のほうが体力はあるのだから、好きなことに好きなだけ金をかけて生活をするべき。万一それで金欠になったら、最後は生活保護がありますから。

 老後リスクに怯えるあまり、不要なお金を貯め込んで死んでいくなんて、そんな不幸なことはありません」

 和田氏自身、趣味のワインや映画作りへの出資を惜しまない。

「やりたいことをしている時に自分が本当に生きていると思えるので、どれだけお金がかかっても映画を作ります。医学的に見ても、過度に節約して外にも出ないでいたら、認知症リスクが高まり、老人性の鬱にもなりやすい。

 外に出てパッとお金を使い、社会と繋がる。こうした日常で心身ともに若返ることができます」(和田氏)

※週刊ポスト2024年9月13日号

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