株主優待でもらった優待品で生活を充実させる個人投資家は多い。警察官僚から刑事、さらには弁護士に転身して活躍する澤井康生氏(53)もその1人だ。現在保有する約250銘柄は「ほぼ優待銘柄」という“優待弁護士”として知られる澤井氏に、「こだわりの投資スタイル」を聞いた。
澤井氏は元警察官僚、元刑事という異色の経歴の持ち主だ。なぜ弁護士に転身したのか?
「大学卒業後警察庁に入り、法令の制定・改正や国会答弁の資料を作成する仕事などをしていましたが、若かった私にはスケールが大きすぎて、やりがいをあまり感じることができませんでした。弁護士であれば、個別の具体的な事件について、法律を使い自分の力で解決して依頼人を助けることができる。そんな仕事をやりたいと思うようになり、弁護士を目指すことにしました」(澤井氏。以下、「」内同じ)
「毎日が刑事ドラマみたいでした」
警視庁に刑事として出向し、様々な事件の捜査で現場を奔走していた時期もある。警察庁退官後、旧司法試験に合格。弁護士として活動するかたわら早稲田大学大学院に入学し、ファイナンスMBAを取得した。
「刑事の仕事はすごく面白かったですね。尾行をしたり、張り込みをしたり、実際に犯人を逮捕して取り調べもしました。毎日が刑事ドラマみたいでした(笑)。大学院に入ったのは、弁護士の仕事や法律とはほとんど関係なくて、純粋に学びたいと思ったからです。様々な企業から将来CFOになるような人たちが通っていて、知り合いがたくさんできました。投資をしている人も多かったので自分もやろうかなと思うようになりました」
その時期の経験が、後の投資デビューにつながったのだという。
「最初は株式投資ではなく、J-REIT(不動産投資信託。以下、Jリート)を専門に投資していました。いわゆるアベノミクスが始まった2013年頃からです。配当利回りが5~6%程度と結構高く安定しているイメージがあり、リスクが比較的少ない割にミドルリターンが得られると思ったのがきっかけです」