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大前研一「ビジネス新大陸」の歩き方

海外で進む「SNSの年齢制限」に効果はあるのか?「年齢は関係ない。成人でも犯罪に手を染める」「規制するより正しい判断力を育てることが大切」と大前研一氏

SNS利用を一律に禁止・規制するより大切なこととは(イラスト/井川泰年)

SNS利用を一律に禁止・規制するより大切なこととは(イラスト/井川泰年)

 オーストラリア議会は16歳未満のSNS利用を禁止する世界初の法案を可決した。フランス、イギリス、ノルウェーでも年齢によってSNSの利用を制限する法律がある。年齢によってSNSの使用を禁止・規制することには賛否あるが、SNSによる“負の影響”を軽減するには、年齢制限以外にどういった方法があるだろうか。経営コンサルタントの大前研一氏が提言する。

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 この問題で私が思い出すのは、約40年前にマレーシアの国家アドバイザーを務めていた際、当時のマハティール首相と議論した経験である。当時、一部のイスラム聖職者が、卑猥かつ粗暴な情報が蔓延するインターネットの規制を求めていた。しかし、私は「自由に使わせた上で正しい判断ができるような教育を行なわない限り、国民は育たない」と強く反対した。この考えは現在も変わらない。

 つまり、SNS利用を一律に禁止・規制するより、サイバー社会で「正しい判断力」を持った子供を育てることのほうが、はるかに重要なのだ。

 では、その方策は何か? 家庭内のコミュニケーションの問題もあるが、基本的には子供にスマホを持たせる前に、学校やコミュニティで、サイバー社会でのルールとマナーやSNS情報の良し悪しを判断できるように教育することだと思う。

 学校であれば、そのための新しいカリキュラムを作り、教育課程の3割ぐらいはそれに時間を配分すべきだろう。道路交通法を学ばなければ取得できない自動車運転免許証と同様に、正しい大人になるための判断力を養成する教育を義務付け、それを修了したら“サイバー成人式”を行なってスマホを渡せばよい。

 そういうプロセスを経たとしても、子供たちのいじめや有害情報へのアクセスを完全に防ぐことはできないだろう。しかし、状況は大きく改善すると思うのだ。

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