スキマバイトアプリで“本気の戦力”を求める求人が増えている(イメージ)
「履歴書や面接が不要で気軽に働ける」ことがウリのスキマバイトアプリが、“就活サービス”化している。入口こそスポットバイトだが、長期雇用や正社員といった“本気の戦力”として引き抜く狙いがあるという。アプリ上には【転職希望の方限定】や【長期案件】など本気でその仕事に興味がある人を誘う文言が散見され、なかには【社員希望】【正社員に向けたお試し】など、“正社員ルート”であることを明記するものもある。
こうした募集は“体験型求人”ともいわれ、飲食店スタッフや講師などの接客業を中心に、さまざまな業種で行なわれているようだ。これまで社員採用であれば自社のホームページや求人サイトでエントリーを受け付けるのが一般的だが、スキマバイトアプリで求人募集をする店舗や企業には、どういった事情があるのだろうか。また、求職者はどう感じるのか。双方の声を追った。
スキマバイトアプリでの募集は「コスパがいい」
Aさん(30代女性)が経営する都内のイタリアンレストランは、地元に愛される人気店。お店のイメージや店舗独自のルールを教育する必要があることから求人には慎重で、“その日限り”であるスポットバイトの採用には抵抗があったが、「“お試し求人”としての利用ならあり」だと話す。
「業界仲間から、長期雇用前提の“お試し”をアピールすることを教えてもらいました。その場一回きりのシフトではなく、最初から『これを機に長期勤務も考えてみてほしい』と募集要項に記載しておくという、いわゆる“体験入店”的な募集の仕方ですね。そうすることで、長く続ける気がある人や前向きな姿勢の人が応募してくれる見込みが上がるとのことでした」(Aさん)
またAさんは、「募集人数は1人や2人なのに、大手の求人サイトはどこも掲載料が高くて“割に合わない”と感じる一方で、スキマバイトアプリへの掲載はコスパが良い」と話す。
たとえば大手求人サイト・マイナビバイトでは求人掲載料が1万円~、「最もご利用されています」というADスタンダードプランでの掲載は1週間で3万円。それとは別に応募数に応じて料金が発生する応募課金制プランもあり、こちらは8000円~となっている(公式サイトより)。
一方、大手スキマバイトアプリ・タイミーは基本掲載料が無料。実際にその日求職者に支払った給料の30%が手数料として請求されるシステムだ。
「求人のためのコストが先にかからないのは大きなメリット」と話すAさんのお店には、現在スキマバイトアプリ経由で採用した男子大学生が働いている。学生は飲食業界志望で、今年の3月に卒業した後はAさんのお店の社員になることが決まっている。