宮沢洋一・自民党税制調査会長(時事通信フォト)
野田代表に「立派な方」とラブコール
だが、石破政権は野田氏に“ラブコール”を送っている。
自民党の社会保障改革の責任者が森山裕・自民党幹事長だ。「インナー」と呼ばれる自民党税制調査会の顧問を兼ね、「財務省と極めて近い」(自民党ベテラン)とされる人物である。
政権の大黒柱でもある森山氏は、去る3月8日、自民党青年部・青年局・女性局合同の全国大会の挨拶でこう言及した。
「消費税の歴史を考えてみますと、消費税と社会保障の一体改革というのは、平成24年、民主党政権、野田総理の時に自民党、公明党と民主党が一緒になって国の予算の大部分を国債に頼っていては社会保障そのものが危うくなるのではないか。ここは3党でしっかり方針を決めるということで、当時5%であった消費税を8%、10%に上げていくというタイムスケジュールを決めたじゃありませんか。私はこれを提案された当時の民主党の野田代表は、立派な方だなと今も思っています」
そう持ち上げたうえで、「苦しい時も国民の皆さんにしっかりと現状を訴えて、ご理解を求めていく努力をしなければいけない」と訴えた。
財務省にとって都合がいいのは、「石破総理、森山氏、野田氏は社会保障改革には安定財源が必要という考え方や、政治家は不人気な政策でも必要であれば国民を説得してやらなければならないという信念が共通している」(財務官僚)からだ。
厚労省中堅官僚もこう言う。
「野田政権の社会保障と税の一体改革の時は、野党だった自民党が先に消費税10%を公約に掲げ、与党の民主党がそれに乗る形で3党合意がまとまった。財務省は今回も参院選後に立憲の野田代表のほうから、かつての一体改革の内容を踏まえて財源を消費税で賄う提案をさせる根回しをしているのでしょう。少数与党の石破総理にとっても、立憲を引き込むことができるなら大歓迎です」