なぜ株式投資なのか
では投資のなかで、なぜ株式を勧めるのか。
世界的な株式投資の研究者であるアメリカのジェレミー・シーゲル・ペンシルベニア大学ウォートン校教授は、1801年から200年以上にわたる株式、債券、現金、金(ゴールド)の推移を見た場合、そのリターンに驚くほどの差が出ていることを発見した。
もし1801年に株式に1ドルを投資し、その後、配当を再投資した場合、2001年には1270万ドルになる。これが長期債券では利息を再投資してもわずか1万8235ドル、金は32ドル84セントにしかならない。
この間には2度の世界大戦や1929年の大暴落をはじめ、多くの不況があったにもかかわらずだ。そしてほかの学者も含めた多くの研究で、日本などアメリカ以外の国でも長期投資をした場合、株式のほうが優位だということがわかった。
明治大学の研究によると、日本では株式市場が誕生した1878年から、2022年までに株価は実に584万倍まで値上がりしている。太平洋戦争があったのにだ。
『完結 昭和国勢要覧』(東洋経済新報社編)によると、1921年(大正10年)を100とした戦前の株価指数で、太平洋戦争直前の1941年は145ポイントだった。当初は日本軍が優勢だったが、アメリカ軍の物量攻撃にはかなわず、日本中が空襲で焼け野原になり沖縄はアメリカ軍に占領される。そして1945年8月に広島・長崎に原爆が落とされ、ソ連が参戦したこともあって日本は降伏する。
当時の日本証券取引所(現在の東京証券取引所)は、東京が空襲で機能しなくなっても開かれており、政府の命令で停止となったのは1945年8月9日。その1945年の株価は215ポイントにも上昇していた。
※東山一悟・著『投資で2億稼いだ社畜のぼくが15歳の娘に伝えたい29の真実』を元に一部抜粋して再構成。東山氏がいま注目する個別株については、関連インタビュー記事『《投資で2億円稼いだ東山一悟さんが選んだ最新注目銘柄5》危機の時こそ「実力のある企業の株を安く手に入れるチャンス」 要注目はAI関連、不動産開発、コンテンツ産業』で紹介している。
【プロフィール】
東山一悟(とうやま・いちご)/会社員、投資家。1969年、東京都生まれ。1991年、筑波大学卒業。同年、メディア企業に入社。2020年、同社を退職。著書に『投資で2億稼いだ社畜のぼくが15歳の娘に伝えたい29の真実』(JTBパブリッシング)がある。