億り人が痛烈に反省した投資とは(イメージ)
資産運用で成功するにはメンタルコントロールも大切になる。例えば欲に負けて本来のスタイルとは違う投資をしてしまっては痛い目にあうケースも。
現在は資産収入と労働収入で生活する“サイドFIRE生活”を実践中の東山一悟氏も、過去に悔やむ投資をしたことがあるという。多くの投資家にとっても参考になるであろうそのエピソードについて、東山氏が娘のためにこれまでの投資や資産形成の経験、生きるために必要な知識を記した著書『投資で2億稼いだ社畜のぼくが15歳の娘に伝えたい29の真実』より一部抜粋・再構成して紹介する。
「知らない人をうかつに信じた自分」を愚か者だと痛烈に反省
2022年の11月、著名な投資YouTuberがレバナスという商品をアピールし、ちょっとしたブームになった。これはハイテク企業中心の米NASDAQ100インデックスに2倍のレバレッジをかけるもの。コロナ禍でハイテク企業の株価が上昇する中、さらなる儲けをねらったものだ。レバレッジ2倍なら単純に考えて元の株価が10%上がった場合には、レバレッジのお陰で20%上昇したことになる。多くの投資家が飛びついた。
しかも、同時に野村証券の口座で株や個人向け国債を保有していれば、同社の証券ローンで1.5%の金利でおカネが借りられる制度があることを知ってしまった。レバナスはインフルエンサーが儲かると言って、みんなも儲かると飛びついている。これは長期投資だから投機でないと自分で自分を納得させて、証券ローンで1200万円を借りてレバナスと、S&P500(アメリカの株式500銘柄を対象にした指数)にレバレッジをかけた投信を購入した。
年が明けてロシアがウクライナに侵攻。世界的なインフレが起きて、金利高に弱いハイテク株は総崩れとなった。レバナスも大きく目減りし、一時は40%のマイナスになった。これが足を引っ張って、春ごろには年初来から資産が3000万円近くも目減りしてしまった。リーマンショックのころにFXで作った700万円の損失額の4倍だ。でも、FX(外国為替証拠金取引)の時は資金を溶かしてパーにしてしまったけど、今回は中長期的には戻ると思って、むしろ目減りを面白がる余裕もあった。そして、追加で投信を購入したほど。
2024年7月には40%のマイナスもすっかり取り返した。このまま持っていてもいいけれど、リスクは減らしたいので、半分を売却。残り半分は依然保有している。
一時期目減りしたことよりも、いかにネットニュースなどでもてはやされたとはいえ、どこの誰とも知らない人をうかつに信じた自分は、投資の大原則を曲げてしまう愚か者だと痛烈に反省した。これ以降、新しいものへの投資は原則取りやめた。