通信費の削減なら「格安SIM」や「格安プラン」への切り替え
それ以外に毎月の支出で年々増えがちなのがスマホなどの「通信費」。大手キャリアで契約する人は多いが、「格安SIM」(安価な料金プランで利用できるSIMカード)や「格安プラン」に切り替えれば、ぐっと安くなる。
「手続きや設定を自分でやらないといけないというハードルはありますが、子供や若い知人に頼んで手伝ってもらう方法もある。それまで月1万円ほどかかっていた通信費を月5000円以上安くすることも可能です」
月5000円の節約なら年間6万円、20年間で120万円も浮く計算だ。さらに、1人1台のスマホを持つ時代は「家の固定電話の必要性」も再検討していい。
「固定電話には煩わしい営業や詐欺の電話がかかってくるケースもあるので、不都合がなければ解約を検討する。月2000円ほどの出費がなくなり、年間2万4000円の支出減につながる」
こうした保険料と通信費の見直しは、多少の手間がかかっても長く大きな支出の圧縮につながる。ここまでに挙げたやり方だけでも、見直し後の20年でざっと400万円以上の支出を減らせる計算になる。
なお、生涯で最も大きな支出とされる「住居費」の見直しは慎重な検討が必要だという。
「まだ住宅ローンを払い終えていない人の場合、今の金利上昇局面では少しでも低金利のところに借り換えたいと思うかもしれないが、とくにシニア層ではその効果に疑問符がつきます。借り換えには事務手数料などの費用がかかり、返済期間が残り10年未満だとメリットはほぼありません」
一念発起して固定費を見直すには、物価高の危機はむしろ好機と言えるだろう。
※週刊ポスト2025年5月9・16日号