知らない番号からかかってきた電話にはくれぐれも注意したい
特殊詐欺の被害は後を絶たず、キャッシュカードをだまし取った犯人の逮捕が相次いでいる。なぜ被害が止まらないのか。詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリストの多田文明氏は、犯罪グループによる詐欺を行う巧みな話術が鍵となると指摘する。新刊『人の心を操る 悪の心理テクニック』(イースト・プレス)を上梓した多田氏が、事例をもとに解説する。
* * *
トクリュウと呼ばれる犯罪グループによる特殊詐欺の被害は深刻で、警察庁によると、2024年度の認知件数は20987件で、被害額は721億5000万円を超えている状況です。この背景には、警察をかたるといった詐欺の手口の多様化があります。
以前から被害が多くでているものに、高齢者からキャッシュカードを詐取する手口がありますが、今年4月に入っても、キャッシュカードをだまし取った犯人らが次々に逮捕されています。
警察官や金融機関を装って、愛媛の90代女性からキャッシュカードをだましとり300万円を引き出したとして、大阪に住む30歳男性が逮捕されています。札幌に住む80代女性からキャッシュカードをだまし取り、お金を引き出したとして、新潟県の36歳の男が逮捕されています。この他にも、大阪の80代女性からキャッシュカードを詐取したとして、30歳の女も逮捕されています。この詐欺は全国各地で起きていることがわかります。
いずれも「あなたのキャッシュカードは悪用されているので、交換する必要がある」という手法ですが、なぜ、この手口で多くの人がだまされてしまうのでしょうか? それは、相手の個人情報を自然な形で聞き出す話術があるからに他なりません。そこには「クローズとオープンな質問で情報を巧みに引き出す」という特徴があります。
以前、取材で闇バイトの募集先の男に連絡をとると「中国国内から詐欺の電話をかけている」と話してきたので、キャッシュカード詐取の詳細を聞き出してテレビで紹介して注意喚起したことがあります。後に、この詐欺グループのメンバーは国内に戻ってきたところを次々に逮捕されることになりました。