会社のPR動画や新入社員紹介動画などへの参加は断ってもよいのか(イメージ)
これは業務なのか、業務外のことなのか――。そうした線引きが難しい“仕事”で悩む会社員も少なくないかもしれない。同様の相談が退職代行サービスを運営する「モームリ」に寄せられることがあるというが、従業員はどう対応すればよいだろうか。退職代行モームリによる新刊『今の会社、ヤバいかも!? 3万人の「もう無理!」でわかる会社の見分け方』より一部抜粋・再構成して、それらの相談事例をもとに対応方法を解説する。
【相談事例】PR動画に出演させられる!
会社のPR動画や新入社員紹介動画などとして踊っている姿を撮影され、TikTokやインスタグラムで配信すると言われました。ほかの社員たちはノリノリで動画を撮影しているので、とても断れるような雰囲気ではありません。(IT関連・C社勤務25歳/男性)
【相談事例】社内イベントを毎回配信
明るい社風なのはいいのですが、明るすぎるというか、ボウリング大会などの社内イベントが多く、私は馴染むことができませんでした。また、イベントの動画を毎回YouTubeにアップされるのも抵抗があったので、退職を決意しました。(製造業・K社事務職28歳/女性)
【モームリ解説】
会社のSNSなどへの出演は、「出てくれない?」とお願いするぐらいならば許されますが、「業務命令」などとして強要する場合は肖像権の侵害に当たります。1つ目の事例のように、断りにくい雰囲気を作っている場合は、明確に強要しているわけではありませんが、グレーな会社と言えます。
また、こうしたメディア出演系の事例でよく起きるトラブルとしては、退職した後に会社が動画や写真などを消してくれるかどうか、という問題があります。2つ目の事例のように社内イベントの動画を配信している場合のほか、従業員の集合写真をホームページに掲載している場合などでも、退職した従業員に削除を求められれば、会社側は動画や集合写真を削除する必要があります。
そうしたリスクを避けるためにも、しっかりとした会社は、入社時に従業員に対してメディア出演の可否や退職後もメディアを使用し続けてよいかどうか、といったことを取り決めています。逆に言えば、入社時にそうした取り決めの話をされたのであれば、その会社は従業員の肖像権にも配慮しているということです。