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「伝統校の敷地内にコインパーキング」「寺の維持管理のために重要文化財を売却」…オバ記者が心を揺さぶられた“時代の曲がり角”を感じさせる2つのニュース

寺の維持のために重要文化財を売却

 母親が亡くなったのは3年前の春だけど、その数年前からわが家は葬式ラッシュで、年子の弟、義父が相次いで亡くなった。そのときに困ったのが、葬式をしきたりに従って行うことや、お寺とやり取りすることよ。法事関係は母親が仕切っていて、私たちは指図されて動いていたけれど、いざ自分たちで行うとなると、末の弟も私もいっこうに不案内だ。なにせ50年ぶりの葬儀だし、喪主になった弟は手も足も出ない。「姉ちゃん、どうすんだ?」と聞かれたところで、私も答えようがないんだって。

 そんな私の気持ちを揺さぶったもうひとつのニュースが、「檀家のいない寺の住職らが、重要文化財などの貴重な品々を売却せざるを得ない事態に追い込まれつつある」というニュースだ。なんとも胸が痛んだ。

 私の子供の頃、お寺といえば、お茶やお花を教えるカルチャーセンターとしての役割があったり、檀家が集まってご住職の法話を聴いたり。ただ葬儀を取り仕切るだけでなく、精神的な支柱として身近なパワースポットでもあった気がする。

 それが、文化財を売ってまで維持管理しなければならなくなったり、それすらまだマシで、いずれ日本中から経営難のお寺が櫛の歯が欠けるように消えていくのかと思うとたまらない。時の流れはどうしようもないんだけどね。

 なら、じゃあ、自分の身はどう始末するかというと、話は急に難しくなる。

 先日、友人のAさんから「都内の有名な寺の合同墓なら30万円で永代供養をしてくれるよ」と聞いて、さっそく見に行った。独り身には墓も戒名もなく、ネットの名簿に刻まれるだけの仏になるのがいちばんふさわしいような気もするんだわ。「なんだ、無縁仏になるつもりか」と死んだ母親なら顔をしかめただろうけど、「無縁仏、上等」と思ったり、でもあれほど母親が忌み嫌うんだから何かあるのか?と思ったりして……さて落ち着かない。

【プロフィール】
「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。

※女性セブン2025年5月29日号

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