土日のオフィス街は平日とはうってかわって人通りも少なくなる(イメージ)
都心のオフィス街は平日こそ人が溢れているものの、休日は一転、人通りはまばらとなり、商売するには難しい。しかし、あえて週末に営業することで、上手に売上アップにつなげているケースもあるようだ。
休日出勤したついでに歯医者に来る人たち
東京都港区のオフィス街で歯科医院を営むTさん(50代/男性)は、数年前から平日に休診日を設け、代わりに土日を営業している。
「ウチの歯科医院があるのは、テレビ局や広告代理店など、超有名企業が立ち並ぶ典型的なオフィス街。親の代までは、仕事の合間にくるサラリーマンだけで十分商売が成立しましたが、私の代から近隣にどんどん同業者が増えて、今では半径200m内に歯科医院が20軒以上あるんです。
あるときコンサルから、『土日営業』というキーワードで検索して病院や歯医者を探す人が結構多いという話を聞き、“それならやってみるか”と。いざ日曜に営業すると、思いのほか結果は良好でした。休日出勤したついでに予定を入れる人が多く、平日よりむしろ混んでいるぐらいです。
日曜祝日に営業することで、遠方に住む友人が来てくれるパターンも増えました。少し歩けばデパートや商業施設があるので、家族全員で来て、一斉に歯のメンテナンスをして、そのまま買い物や食事に行くという流れです」
たとえ人通りが少なくても、ライバルがいなければ“総取り”出来るチャンスがあるということ。都内のデパートに勤めるKさん(30代/女性)は、日曜出勤が多い業種ならではの“社内あるある”についてこう語る。
「週末になると店内は大混雑ですが、周辺は基本的にオフィス街なので、飲食店はほとんど開いていません。ですから日曜出勤組は昼休みが近くなると、『今日のお昼、どこ行く?』『○○って日曜は開いてる?』という話ばかり。“日曜に開いている店リスト”は日々更新され、広く共有されています。開いている店がとにかく少ないので、日曜にやっている店はウチの関係者で占拠されていて、いつも超満員です」