毎月分配型投信の「安心」に潜むリスクとは?
毎月分配型の投資信託は、毎月一定額の分配金が支払われるため、定期的な収入を得られる点で高齢者に人気があります。NISAで運用すれば分配金を非課税で受け取れるようになるでしょう。ただし、「安定収入があるから安全」とは限らず、以下のようなリスクも理解しておく必要があります。
【1】元本を取り崩して分配されることがある
運用益が出ていなくても、分配金を出すために元本を取り崩すケースがあります。これは「特別分配金」と呼ばれ、実質的には資産を減らしていることになります。
【2】運用状況が見えにくい
分配金が出ていることで「順調に運用されている」と思い込みやすいですが、基準価額が下がっていれば実際には損をしている可能性も。
【3】複利効果が得られにくい
利益を再投資する「複利」の効果が働きにくく、長期的な資産成長には不利になることもあります。
【4】分配額の変更リスク
分配方針は運用会社が決めており、経済状況によって分配金額が減る可能性もあります。安定収入と思っていたのに、急に減ってしまうこともあり得ます。
「プラチナNISA」は、高齢者が自分のライフスタイルに合わせて、より柔軟に資産を活用できる制度として期待されています。ただし、毎月分配型の投資信託には独特のリスクもあるため、制度開始後は商品の中身をしっかりと理解し、必要に応じて専門家に相談することも大切です。
今後の制度設計と正式な発表に注目しつつ、老後資金の運用について考えるきっかけにしてみてはいかがでしょう。
今回のまとめ
・高齢者向けに新しいNISA検討中
・毎月、分配金を年金のように受け取れる分配型投信が対象に
・仕組みと独特のリスクをしっかり理解しよう
【プロフィール】
藤川里絵(ふじかわ・りえ)/個人投資家・株式投資講師・CFPファイナンシャルプランナー。2010年より株式投資をはじめ、主に四季報を使った投資方法で、5年で自己資金を10倍に増やす。普通の人が趣味として楽しめる株式投資を広めるため活動し、DMMオンラインサロン「藤川里絵の楽しい投資生活」を主宰。本稿の関連動画がYouTubeにて公開中。
個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さん