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かつての「タコ足配当」と何が違う? 再び脚光集める「毎月分配型投信」の新潮流

ブームが下火になった「毎月分配型投信」の新潮流とは?(イメージ)

ブームが下火になった「毎月分配型投信」の新潮流とは?(イメージ)

 様々な「最新の投資商品」があるが、その多くが主な対象顧客とするのは平均貯蓄額の大きい60歳以上だ。貯蓄を投資に向けるべく、“最新商品”が次々と生み出されている。うまく活用すれば家計にプラスをもたらすが、注意点も知っておく必要がある──。

「タコ足配当」にならない?

 収入が年金だけになると、なかなか生活費を賄えない。貯蓄を少しずつ取り崩すことになる。何歳まで長生きするかわからないなか、預金残高が減っていくのは不安だ。

 そうした時、預金を使って100万円ほどの投資信託を購入すると毎月およそ2万円の「分配金」が出る──そんなふうに家計の赤字を埋める“おこづかい”が得られるとして人気なのが、「毎月決算型(分配型)」と呼ばれるタイプの投資信託だ。

 もともと2000年代に入った頃から注目を集めた商品で、2014年にはこうしたタイプの投信の純資産総額は約42兆円にのぼった。しかし、その後に一度、ブームは下火となる。1級ファイナンシャルプランニング技能士の深野康彦氏が解説する。

「かつてブームとなった毎月決算型投信では、運用で収益があがっていないのに、分配金が支払われるという歪なかたちになる商品が続出した。実際には元本を食い潰して分配金を出しているだけなのに、顧客がさも儲かっているかのように認識させられていたことが問題視されました」

 2017年に公表された金融庁の「金融レポート(平成28年事務年度版)」では、〈顧客のうち、「分配金として元本の一部が払い戻されることもある」ことを認識していない割合は5割弱〉という調査を引きながら〈顧客ニーズを十分に確認せずに販売が行われている可能性がある〉と指摘。メディアでも、タコが自分の足を食べるようにして分配金を捻出する「タコ足配当」が厳しく批判された。

 その結果、顧客は離れ、投資信託協会のデータによれば2017年以降は新たに投資される額よりも解約や償還が多くなっていた。

 それが、ここにきて状況が変わっているのだ。今年1~7月は、投資家から流入する資金が2000億円以上の超過となるなど、人気が回復。前出・深野氏が語る。

「近年、注目されているのは毎月決算型のなかでも『予想分配金提示型』というタイプのもの。その時々の投信の基準価額(時価)の水準に応じて、どれだけ分配金を払うかをあらかじめ明示しています。つまり、運用の結果が悪ければ分配金は支払われないこともある。金融庁が指摘した、元本を食い潰して分配金を出してしまうという問題点が一定程度、改善されたものです」

 では、こうした商品は「買い」なのだろうか。

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