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教皇選挙を見たオバ記者が振り返るカトリックとのかかわった思い出 「天国泥棒」という言葉を聞いて「その手があったか!」

次はギャンブルが強くなるミサをお願いします

 さて、当日。信徒の皆さんの連係プレーは素晴らしくて、ブイヤベースに2種類のパスタ、メインのミートローフにりんごのコンポートまで、着々と出来上がり、次々とサーブしてくれる。にわか料理長の私は大絶賛を受けて得意満面の半面、心配事で背中に冷たいものを感じているという複雑な心境よ。

 そして翌朝。約束通り、「では今年は、願い事が叶うミサをあげます。どうぞ皆さま、願いを胸に──」とH神父は自信に満ちた顔で信徒を見回し、お説教をしてからみんなで賛歌を歌った。

「ひょひょひょ。うそでしょ!」

 教会から帰った翌日、私は事務所で尻もちをつきそうになったわよ。な、なんと、何度も探したスチール机の引き出しの奥から“探し物”がニョッと出てきたのよ! 古いカメラが入っていると思い込んで見向きもしなかった箱のフタを開けたら!というマヌケな話だけど、私からしたら奇跡そのものよ。

 なのにH神父はその話をしても驚かず、「それはよかったですね」と淡々としたもの。「あのミサはめったにやらないんですけど、効果、あるでしょ」と言うので、調子に乗って「次はギャンブルが強くなるミサをお願いします」と言ったらアハハと笑われた。H神父とはそれきり会っていないけど、私の不思議体験のひとつよね。

「“天国泥棒”ってご存じ?」

 カトリック信者といえば、15年ほど前に通っていた洋裁教室で出会ったSさんもそう。Sさんは毎夏、1か月ほどバチカンに滞在してカトリック信徒として祈りの日々を送るのだとか。

 穏やかだけど茶目っ気のあるマダムで、あるとき一緒にお茶を飲んだら、「野原さん、“天国泥棒”ってご存じ?」と聞くんだわ。「やりたい放題の人生を送って、亡くなる直前に洗礼を受ける人のことを、私たちはそう呼ぶのよ」と言ってフフフと笑ったの。とっさにその手があったのかと思ったけれど、いやいや、そこまでの罰当たりにはなれませんて(笑い)。そんなことを私より2つ年上の新教皇を見ながら思ったのでした。

【プロフィール】
「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。

※女性セブン2025年6月5・12日号

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