国は“保険料が上がれば将来の年金受給額も増える”と喧伝するが、増額は微々たるものだ。
「保険料で年間の手取りが約11万円減らされた人が、その見返りとして得られる将来の年金増額は年約6600円に過ぎません。月550円しか増えないのです」(北村氏)
これでは割に合うはずがない。
高所得者にしか関係しない話に感じるかもしれないが、日本経済はインフレに転じ、物価上昇に追いつかない水準ではあるが、賃上げも進んでいる。その流れが進めば、現在の中間層も遠くない将来に、額面上は現在の高所得者の水準の給与を手にすることになり得る。それを見越した保険料負担増の改悪とも言える。北村氏が語る。
「政府は企業に賃上げを求めているが、賃上げが進んだ結果、保険料値上げの対象に入ってしまえばたっぷり保険料を天引きされることになる。また、厚生年金保険料は会社が半分負担するため、社員だけでなく、企業にとっても負担が大きくなります」
関連記事《【政府の年金制度改革法案「3つの改悪ポイント」を徹底解剖】「加給年金の縮小・廃止」「遺族年金の大幅カット」「中堅サラリーマンは保険料が年11万円の負担増」》では、保険料引き上げ以外にもある、政府の年金改正案「改悪の3つのポイント」を図解つきで説明している。
※週刊ポスト2025年6月6・13日号