東洋大学の白山キャンパス(写真:イメージマート)
大学受験で年内の推薦入試の割合が高まっており、推薦入試に対する受験生の注目も集まる。中でも、年内に行われる東洋大学の「基礎学力テスト型」の推薦入試は約2万人が受験し、近年人気となっている試験だ。この試験が次の入試から内容が変更となる。その内容と背景はなにか。『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』が話題の受験ジャーナリスト・杉浦由美子氏がレポートする。
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2024年12月に東洋大学が「基礎学力テスト型」の推薦入試を実施し、募集人員578人に対して約2万人が志願し、合格者数は4194人、倍率は約4.7倍と盛況だった。
内容は、国語または数学から選択し、英語と合わせて2教科の学力試験で合否を決めるというものだ。学校長の推薦が必要となる学校推薦型選抜だが、併願も可能となる(合格しても入学を辞退できる)。
この学力テスト型の年内の推薦入試は、関西では30年前から行われている。その波がとうとう関東にも来たかと話題になった。
しかも日東駒専(日大・東洋・駒澤・専修)の中では頭一つ抜けて、MARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)に近づいているといわれる人気大学、東洋大学が行うのだから、受験生が殺到して当然だ。
「いわゆる総合型選抜などの年内入試は志望理由書の作成などの準備が非常に大変です。学校側が用意する書類が多いこともあり、教師も生徒も負担が大きいので一般選抜を目指す場合、そうそう年内の推薦入試は受験ができません。しかし、学力テスト型の推薦入試ならば前哨戦として受験ができます。学校としてはありがたい」(都内高校の進路指導の教諭)
この教諭の勤務先の高校は「大歓迎」という認識で、実際に何十名もの生徒を受験させた。
一方で、「一般選抜の前倒しではないか」「学力試験で合否を決める入試は一般選抜で、2月1日以降でないと実施すべきではない」との意見も相次ぎ、文部科学省は昨年12月、東洋大学を含む、全大学に、学力テストで合否を決める入試の期日順守を通知している。
関西ではすでに定着している学力テスト型の年内入試ができなくなると、大学受験業界は混乱に陥る。
「関西で産近甲龍(京都産業、近畿、甲南、龍谷)などの私立大学が行う年内の学力テスト型入試は模試代わりにもなっています。そのため、2月の一般選抜の前哨戦として重要な位置づけです。それをいまさら駄目だといわれると、高校も塾も頭を抱えることになります」(関西の塾講師)