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ビジネス

《これがなければ倒産していました》赤字続きのコメ農家を救う“商社マネー” 秋田では「1俵2万円台半ば」を提示、JAとの差額は5000円以上

総合商社ならコンビニ、パックご飯も

 ここでコメが農家から消費者に届くまでの流通ルートを整理したい。

 近年、農家が生産したコメは、約3~4割がJAに出荷されている。そのコメはJAから卸売業者、さらに量販店や外食・中食業者を経て消費者に届くのが一般的だ。

 ただ、最近はJAを介さないルートとして、卸売業者や量販店、外食・中食業者と直接取引をしたり、ECサイトで消費者に直接販売したりする大規模農家が増えている。この流れはコメの販売が自由化された1995年以降、特に近年においてより加速してきた。

 そうしたなかで「令和のコメ騒動」を迎え、大手商社も直接取引に乗り出してきたわけだ。

 コメの生産量が全国3位の秋田県で取材すると、ある農家が匿名を条件にこう明かした。

「伊藤忠食糧の営業さんが一昨年から顔を出すようになりました。秋田の地域商社『詩の国秋田』の方から、伊藤忠食糧を紹介されたのがきっかけでした。これまで農協にコメを卸していた農家に直取引の声をかけているようです。伊藤忠グループには、ファミリーマートをはじめ、外食チェーンやディスカウントストアなど、コメの販売先が多数あるからという説明を受けました」

 さらに、あるコメ卸の社長はこうした動きについて、「伊藤忠食糧はもともとJAからのコメの配分枠が少なかったところに、今回の騒動が起きた。コメが足りなくても、傘下のファミリーマートへの供給責任があるため、コメの確保に必死なのではないか」と事情を推察する。

 伊藤忠食糧をグループ会社に抱える伊藤忠商事に尋ねると、「個別取引に関わるご質問である為、回答が難しい」(広報部)との回答だった。

 秋田県で取材を進めると、伊藤忠食糧に先んじて豊田通商が2010年代に直接取引を始めていたとの証言も得た。

「豊田通商と『しきゆたか』という品種の取引を始めたのは7~8年前でした。取引したコメはパックご飯になるという話で、メーカー名も2社ほど説明されました」(先の農家)

次のページ:主要大手商社8社にアンケート調査
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