最近の手口で確認された偽のセキュリティ警告画面の例(情報処理推進機構ホームページより)
一切相手にしないことが大切
Aさんが詐欺の相手と話したのは、ほんの10分足らず。でも、あっという間に実害を被った。どうすべきだったのか。成蹊大学客員教授でITジャーナリストの高橋暁子さんに聞いた。
「詐欺師の目的は、こちらをパニックに陥れることです。警告音を鳴らすのもウイルス感染を思わせる画面もそのためで、その時点でのウイルス感染はありえません。ただ、×印をクリックしても画像は消えないし、音も止まらないので焦りますよね」
高橋さんはこうアドバイスする。
「パソコンキーボードの『Esc(エスケープ)』キーを3秒ほど長押しして出てきた『×』印をクリックすれば画像と音は消えます。それでもダメなら、『Ctrl(コントロール)』『Del(デリート)』『Alt(オルト)』の3つのキーを同時に押して強制再起動をする。
その前にボリューム音を小さくして周りの人に声をかけて聞いてみたり、ネットで状況検索してみるとよかったですね。マイクロソフトからの警告と思ったから信用したのでしょうが、そもそも、決して相手に電話をかけてはいけなかったんです。電話する前に記載されている電話番号をネット検索したら『詐欺』と出てきたはずです。
詐欺に一度でも引っかかった人は『騙されやすい人リスト』に入ってしまいます。そうした人には同様の誘い文句や手口で詐欺師が近づいてきますから、不安に思っても無視して、今後、一切相手にしないことが大切です。
ちなみに、詐欺に遭ったときにパニックにならないように訓練するサイトがありますから、それで免疫をつけてもいいかもしれませんね」
Aさんの元にはいまも連日、不審なメールや電話が届くという。私たちシニアは訓練サイトをやっておいた方がよさそうね。
【参考】
『詐欺回避訓練サイト』IPA(情報処理推進機構)ホームページ内
https://www.ipa.go.jp/security/anshin/measures/fakealert.html
パニックになって電話をしてしまった、遠隔操作ソフトを入れてしまったなど詐欺に遭ってしまった人は下記のサイトに相談を。
IPA(情報処理推進機構)安心相談窓口
https://www.ipa.go.jp/security/anshin/index.html
【プロフィール】
「オバ記者」こと野原広子。1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。
※女性セブン2025年6月19日号