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投資

「TOB報道→否定」を繰り返した豊田自動織機、吊り上がった株価がTOB価格発表で大幅下落で涙目の投資家も それでもあった「千載一遇」のタイミングとは

株価の値動きの考察

 これまで見てきた通り、TOBの報道が出るたびに同社は報道を否定するIRを出してきた。そして、直近株価を大きく下回るTOB価格でのゴールとなった。目先の報道で期待をした多くの投資家が大きな損失を被った可能性がある。

 6月3日引け後にTOB価格が1万6300円と発表になったことで、翌営業日である6月4日の株価は、1万5975円での寄付価格となった。これは、4月25日の決算発表後、そしてTOB報道以後初めてとなる、1万6000円を切る株価水準だった。

 4月25日の本決算発表以後、度重なる憶測報道で同社株を買いに入った投資家の多くは、値がさ株だけに大きな含み損を抱えることになったであろう。それだけでなく、1万6300円で売るにしても多額の資金拘束と数ヶ月の時間拘束を余儀なくされる(TOB行使は12月を予定)。それであれば、早々に手放すことを選択した投資家も多かったと思われる。それが、TOB価格1万6300円を大きく下回る寄付価格になった理由と考えられる。6月4日の株価も終値は1万6205円とTOB価格を下回る金額での株価で引けた。

 大きな損害を被った投資家が多数出た一方で、このような状況でも利益を出した投資家もいたはずだ。

 6月3日、正式なTOB価格が発表されたことで同日のPTSマーケット、そして4日の寄付での株価は対前日比で10%を大きく超える下落幅となり、ここで同社株を購入した投資家にとっては、短期間で10%近くの利益を獲得できる千載一遇のエントリータイミングとなった。

今後の投資戦略

 今後も日本の株式市場では、企業再編に伴うM&Aなどの情報が多々出てくることが予想される。その都度、このような株価の乱高下が生まれ、大きな利益を獲得できるチャンスが出てくるだろう。

 その一方で、タイミングによっては今回のように損失を被る投資家も出てくることが考えられる。今回の事例の教訓としては、事実情報を精査する力こそが、チャンスを掴むポイント、そして、大けがしないポイントとして重要になってくるだろう。

【プロフィール】
古賀真人(こが・まさと)/個人投資家、経済アナリスト、会社経営者、投資系YouTuber。1978年、埼玉大学経済学部卒業後、国内大手金融機関、外資系金融機関勤務を経て独立し、株式会社ライフサポートを設立。25年以上の株式投資経験を活かし、チャート分析からはわからない経済分析、個別企業分析をYouTube「カブアカちゃんねる」で展開。全決算を最速分析しているnote「カブアカマガジン」(https://note.com/masatokoga)を日々更新中。

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