金に投資するには様々な方法があり、税金の扱いも異なる
国内の金小売価格は1グラムあたり1万7000円を超え、過去最高水準にある。金価格が高騰する背景には、ロシア・ウクライナ情勢などの地政学的リスクや、アメリカの信用不安からのヘッジとして買われるなど、様々な点が指摘されているが、投資先として金の魅力が高まっているのは間違いないだろう。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第146回は、「金の投資」について。
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金の価格が上昇を続ける中、「今から買っても大丈夫?」という声が増えています。こういった声は「金価格が最高値更新!」というニュースが出るたびに聞かれますが、あとから振り返ると「あのとき買っておけばよかった」という結果になっています。
今後、金価格が大きく下がるとしたら、それは「世界が平和になったとき」とも言われます。分断が進行しつつある今の状況では、想像しづらい未来ではないでしょうか。やはり、長期的な資産分散の一環として、金への投資は有効と考えます。
金価格の現状と上昇要因
国内の金小売価格は1グラムあたり1万7128円(2025年6月4日時点)と、過去最高水準にあります。この背景には、ロシア・ウクライナ情勢の悪化などの地政学的リスクの高まりがあります。
さらに、米国の信用不安からドル安が進み、そのヘッジとして金が買われている側面もあります。また、日本を除く多くの国では金利引き下げ傾向にあり、高金利時には魅力が薄れていた金に対して、買い戻しの動きも見られます。
購入方法と税金の違い
金の購入方法はいくつかありますが、どのような形で持つかによって、税金の扱いが異なります。代表的な方法とその税務上の取り扱いは以下の通りです。
・現物(金地金や金貨)
譲渡益は「譲渡所得」として他の所得と合わせて総合課税され、5年以上保有すれば「長期譲渡所得」として税率が軽減されます。年間50万円までの特別控除も適用可能です。
・金ETF(上場投資信託)
「株式等に係る譲渡所得」として、申告分離課税(税率20.315%)が適用されます。特定口座(源泉徴収あり)での取引なら確定申告が不要な場合もあります。また、NISAの成長投資枠での購入が可能なので、その場合の売却益は非課税です。
・純金積立
売却時には現物と同様の課税対象ですが、取得単価の計算方法(平均法など)に注意が必要です。売却するときには、「持っている金のうち、どれを売ったとみなして税金を計算するか」が問題になります。証券会社や積立業者によって、採用している方法が異なることがあり、自分で売却した場合は証明資料(購入履歴)を保管しておく必要があります。現物引き出し時には別途手数料がかかることもあります。