財務省は実際、どれほどの力を持っているのか(時事通信フォト)
今年2月頃より始まり盛り上がりをみせた財務省前での「財務省解体デモ」。減税や財政出動を求める国民の声は財務官僚に届いているのだろうか。財政均衡を金科玉条に据える財務官僚には馬耳東風かもしれない。国民の声どころか、政治家やマスコミも恐れないその権力の根底には何があるのか。元財務官僚で嘉悦大学教授の高橋洋一氏の著書『財務省 バカの「壁」 最強の“増税マシーン”の闇を暴く』より一部抜粋・再構成して、解説する。
財務省が政治家、各省庁を支配する「予算編成権」
「最強官庁」と恐れられる財務省は、霞が関はおろか永田町さえも支配している。
では財務省は実際、どれほどの力を持っているのか。
たとえば、かつて「民業圧迫」と非難された400兆円にも上る「財政投融資」を全額預託されていたのは、大蔵省の一部局にすぎない「資金運用部」だった。この原資は郵便貯金であったにもかかわらず、運用は郵政省ではなく、長らく大蔵省の管轄だったのだ。こうした事例ひとつからしても、その力の強さがわかるだろう。
では、このような力の源泉はどこにあるのか。財務省が各省庁を支配できる理由は、他にはない次の3つの権限を持っているためだ。
【1】予算編成権
【2】税務(国税)調査権
【3】官邸内に張りめぐらされた人的ネットワーク
順番に説明しよう。「予算編成権」とは、文字通り予算配分の権限を握っていることである。だから政治家や各省庁は頭が上がらないのだ。地元のため、あるいは支持してくれる業界や団体のため、補助金のひとつでもつけようと思ったら、すべて財務省に頼まなければいけない。私もそうだったが、財務省の担当者は予算編成の時期ともなれば、ほとんど分刻みで陳情にやってくる議員の対応をしなければならないのだ。
また、他の省庁にしても、自ら提出した「概算要求」を財務省が勘案し、予算案の第一次案を作るため、予算欲しさに財務省の言いなりにならざるを得ない。
要するに、国家財政という“サイフのヒモ”を財務省は一手に握っているわけだ。