学力重視の総合型選抜では「学力が高く勤勉な学生」が入学する
東北大学の滝澤博胤副学長は2022年2月10日配信の朝日新聞EduAで「(12年度(編集部注:2012年度)以降の卒業生のデータでは、AO入学者のGPA(大学での成績)が高いのはどの年度も変わりません」とコメントをしている。東北大学は旧帝大の一角で、今でも一般選抜は国内屈指の難易度だ。それなのに、なぜ、総合型選抜(旧AO入試)での入学者の方が成績がいいのか。
まず、東北大学は「学力重視の推薦入試」を行っていることが挙げられよう。総合型選抜でもしっかりと学力を求める大学独自の筆記試験を課す。そして、出願要件に評定平均値を求める推薦入試もある。評定が高い学生は勤勉であろうから、入学後もコツコツと勉強をする。しかも「学力重視の総合型選抜」をくぐり抜けてきているから「基礎学力がある努力家の学生たち」で、大学での成績がいいのは当たり前だ。
都内の難関私立も同様だ。恩藏直人・早稲田大学常任理事、商学学術院教授は、2022年2月9日配信の朝日新聞EduAで「AO入試(総合型選抜)で入った学生のGPAは、全般的に結構高いです。受験する学部を第一志望にしていて、入学後の目的がはっきりしているためでしょう。指定校推薦(学校推薦型選抜)は地方出身者の割合が多く、GPAも平均値よりやや高いです」とコメントしている。
早稲田の総合型選抜も、英語の筆記試験や共通テスト、評定平均値などを評価して合否を決めているため、推薦組の方が学力が高く勤勉で入学後の成績がいいのだろう。
ある都内の私立中高一貫校出身の学生が話す。
「同じ高校から早稲田の国際教養の総合型選抜を5人ぐらい受験しました。英検準一級以上の子たちで、成績がいい子が受かっていきました。総合型で不合格だった子が一般選抜で合格したんですが、高校の先生も総合型選抜の方が難しいといっていました」
東北大学や早稲田大学の場合、評定平均値や学科試験(共通テスト)などを経てくるため、推薦組の学生たちは入学後も成績がいいと推測される。