スウェーデン産のビルベリーから放射性物質を検出
さらに小倉氏は、ベトナム産エビ類で、EUでは使用が禁じられているエンロフロキサシンなど、人体への有害性が指摘される危険な抗生物質が多く検出されている点も気がかりだと言う。
「現地ではここ20年ほどの間にエビの養殖が急速に拡大し、ベトナム南部のメコンデルタでは稲作農家が次々にエビの養殖業に転じました。過密な状態で大量に養殖するため病気が発生しやすくなりますが、生産性を落とさないよう飼料に大量の抗生物質が添加され、多くの残留違反に繋がっていると見られます」
仮に違反事例に該当する食品を口にしても、直ちに深刻な健康被害が生じるとは限らない。だが小倉氏は「大腸菌群のE.coliなど、食中毒を招く細菌に汚染された食品は、子供や高齢者が摂取・感染すれば命に関わる事態に発展する恐れがある」と警鐘を鳴らす。ほかにも、健康に与える影響から看過できない違反事例はいくつもある。
「たとえば中国からの輸入品である『菜の花』から検出された殺菌剤テブコナゾールがそのひとつ。内閣府所管の食品安全委員会のデータによると、動物実験で甲状腺や肝細胞の腫瘍を引き起こしたことが認められています。同じく中国からの冷凍ヤマモモで検出された殺菌剤ジフェノコナゾールは、発がん性試験の結果、肝細胞腺腫および肝細胞がんが認められています」(同前)
なかには「放射性物質」が検出された事例もある。消費者問題研究所代表の垣田達哉氏が言う。
「2024年度はスウェーデン産のビルベリーから日本の基準値の1.6倍にあたる放射性物質が検出されています。過去には基準値超えのブルーベリージャムが市場に流通、輸入業者に回収が命じられたこともありました」(垣田氏)
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※週刊ポスト2025年6月27日・7月4日号