先週の日経平均は週間で92.64円高
投資情報会社・フィスコが、株式市場の6月9日~6月13日の動きを振り返りつつ、6月16日~6月20日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は週間で92.64円高(+0.25%)の37834.25円で取引を終了。米雇用統計の上振れや米中通商交渉の進展期待で週初から買い先行、週央にかけては38529円まで上昇し、2月21日以来の水準まで一時上昇した。ただ、週後半にかけては軟化し、一時25日移動平均線を割り込む展開になっている。なお、6月限のSQ値は38172.67円だった。
9日から10日にわたって開催された米中通商協議では、両国の交渉担当者が貿易に関する枠組みで合意したと発表、半導体関連などハイテク株高の流れにつながった。一方、週後半にかけては、イスラエルがイランの核関連施設を攻撃したと伝わるなど地政学リスクの台頭が株価の調整要因となった。日本株にとっては、ドル・円相場が一時142円台にまで下落したこと、トランプ米大統領が輸入自動車にかける追加関税を「遠くない将来に引き上げるかもしれない」と発言したことなども買い手控え要因になった。
なお、6月第1週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を3932億円買い越したほか、先物を2176億円買い越したことから、合計6108億円の買い越しとなった。8週連続での買い越しとなっている。個人投資家も現物を1890億円買い越すなど合計で1681億円買い越し、事業法人も合計で3455億円買い越した。一方、信託は合計で7844億円の大幅売り越しだった。
今週は日米の金融政策会合が注目イベントとなるが、米国の関税政策の影響が不透明な中、ともに金融政策の変更は想定されていない。日銀金融政策決定会合では、国債の買い入れ減額計画の中間評価が発表されるが、2026年4月以降の減額ペース縮小が示される可能性もあるとみられる。また、20日には国債市場特別参加者会合が開催され、今年度の超長期国債の発行減額が議論される。足元における超長期国債の不安定化の解消につながっていくか注目される。
一方、米連邦公開市場委員会(FOMC)後のパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長会見では、先行きのインフレ見通しなどが注目されよう。足元で米国インフレ指標は落ち着きを見せているが、関税発動前の在庫積み増しの影響がこの要因とみられる。また、政策金利据え置きが予想される中、トランプ大統領との軋轢が広がらないかにも懸念は残ろう。なお、関税策の影響という点では、中国の工業生産の状況なども注視されよう。
日本株にとっては、G7サミットに合わせて日米首脳会談が実施されるのか、実施された場合、自動車・自動車部品の関税率低減で合意がなされるのかが大きな関心事となろう。12日にトランプ大統領が自動車関税の引き上げを示唆していることなどは、日本側の交渉にとってはプレッシャーとなってこよう。また、米中協議への注力度が高いとみられること、中東情勢の緊迫化などから、すぐに交渉が大きく前進するような状況は想定しにくいとみられる。