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また行きたくなる一流飲食店のすごい戦略

鮨や焼き鳥の名店で広まる「店内独立」とは? 独立準備のための弟子養成機関として「客・弟子・師匠」みんなが得をする仕組みで「名店が名店を生む」好循環

2015年10月、鮨の激戦区・銀座にオープンした「鮨 あらい」(公式サイトより)

2015年10月、鮨の激戦区・銀座にオープンした「鮨 あらい」(公式サイトより)

鮨あらい/鮨さいとう/鳥匠いし井で実践されている「三方よし」の取り組み

 寿司の名店での修業に加えソムリエ資格ありの異色の経歴を持つ寿司職人、「鮨めい乃」の幸後綿衣(こうご・めい)さんも、もとは寿司の名店「鮨あらい」で個室を任されていました。

 幸後さんのファンが増えるにつれて個室の予約が増えていき、あらいのお客様に対しては「デビュー」が済んだ状態で独立。おかげで、めい乃は最初から、集客に大きな苦労をしなかったはずです。「あらいで個室を任されていた綿衣さんが、ついに自分の店を持った」ということで訪れる人も多かったに違いありません。

 ほかにも、鮨さいとう(寿司・東京)や鳥匠いし井(焼き鳥・大阪)など、類似する弟子養成機関を設けている飲食店は増えている印象です。

 さいとうの場合は、本店と同じ敷地内に別個に弟子の店があり、いし井の場合は師匠の店の2階に「いし井Jr.」という別店舗があるのですが、仕組み、メリットとしては、先ほど述べたものと変わりません。

「鳥匠いし井」の大将・石井吉智さんとは、東京分店「鳥匠いし井ひな」を経営させていただいているご縁もあるので、その魅力についてもう少し詳しくお話ししたいと思います。

「鳥匠いし井」の東京分店「鳥匠いし井ひな」(写真は「鳥匠いし井」のインスタグラムより)

「鳥匠いし井」の東京分店「鳥匠いし井ひな」(写真は「鳥匠いし井」のインスタグラムより)

 鳥匠いし井は、その卓越した焼きの技術によって、日本屈指の焼き鳥店へと登り詰めた名店です。大将である石井さんのこだわりは、単に焼きの技術にとどまらず、鶏そのものにまで及びます。九州の天草大王や高坂鶏といった銘柄鶏を扱いながら、現在は鹿児島の鶏舎と向き合い、「きさ輝地鶏」の開発にも注力。肉質、脂の質、弾力、旨味―あらゆる要素を研究し、理想の焼き鳥を追求し続けています。その成果は、1本1本の串に刻まれており、一口ごとに試行錯誤の軌跡を感じられる仕上がりです。

 そんな石井さんの哲学と技術を継承する場として誕生したのが「いし井Jr.」。

 本店と同じ鶏を使用し、いし井の技を学んだ弟子たちが腕を振るう、まさに研鑽の場です。本店と比べると、よりカジュアルな価格帯で楽しめるのも魅力の1つ。大将の想いを受け継ぐ弟子たちが焼き上げる焼き鳥を、気軽に味わうことができます。まさに「大将・弟子・お客様」の三方よしの仕組みがここに確立されているのです。

※見冨右衛門・著『一流飲食店のすごい戦略1万1000軒以上食べ歩いた僕が見つけた、また行きたくなるお店の秘密』(クロスメディア・パブリッシング)より一部抜粋・再構成

【プロフィール】
見冨右衛門(みとみ・えもん):クリエイティブディレクター/レストランプロデューサー/グルメ活動家。株式会社はらぺこ代表。レストラン経営やプロデュースを中心に、クラフトビールや茶などの開発まで行う。また、グルメをコンテンツにした企業向けのソリューションビジネス(広告制作、コンテンツ開発、イベント等)を展開。さらに、ラジオや雑誌等のメディアで全国のグルメ情報を発信中。延べ1万1000軒を超える飲食店へ訪問し、そのすべての食事履歴をカレンダー方式で紹介するグルメサイト「食べある記」を運営。

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