一流店と呼ばれるには理由がある(イメージ)
「食べることは生きること。」――グルメを一番の趣味とし、延べ1万1000軒あまりの飲食店で食事をしてきたレストランプロデューサーの見冨右衛門氏は「一流店」が一流であり続けるには、必ず「理由」があると言う。
突き抜けた個性も唯一無二の付加価値として、その店を「一流」にする。例えば、鮨とタイ料理のコラボレーションという、常識破りのメニューを出す店もその一つだ。見冨氏の著書『一流飲食店のすごい戦略 1万1000軒以上食べ歩いた僕が見つけた、また行きたくなるお店の秘密』より、一部抜粋・再構成して紹介する。
お客様の心と胃袋に響く「個性」が唯一無二のブランドになる
王道を外れるのは難しいものです。逆張り的に奇を衒(てら)っただけでコンセプトもなければ思想や哲学もなく、おもしろさもない――そういうものは、すぐにお客様に見抜かれてしまうでしょう。
私は「亜流」と「個性」は別ものであると考えています。
王道を外れただけのアウトローは亜流に過ぎませんが、それも、お客様を納得させて余りあるほど突き抜けてしまえば「個性」になる。「おもしろい」「あんな店はほかにない」、つまり唯一無二の付加価値がブランドになるわけです。
ここで紹介する「鮨 すがひさ」(寿司・東京)、「鮨 一幸」(寿司・東京)は、いずれも、そんな突き抜け方をしています。
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