地方移住者を増やすよりも「関係人口」に着目
「転入超過」の主体は10代・20代(出所:内閣官房「地方創生2.0」基本構想(2025年6月13日)資料)
基本構想が一番重要視したのは、従来と同じく「東京一極集中の是正」である。東京圏から地方への若者の流れを倍増させることを数値目標として掲げている。
とはいえ、移住者を増やすことは簡単ではない。政府はこれまでも旗を振ってきたが、むしろ東京一極集中が進むという結果に終わっている。
そこで目を付けたのが、居住地以外の地域に継続的に関わりを持つ「関係人口」である。週末などの時間を活用してお気に入りの地方で過ごす人が増えつつあるためだ。こうした動きを勢いづけようと、基本構想では「ふるさと住民登録制度」の創出を打ち出した。
お気に入りの地方に対する帰属意識が高まれば、さまざまな場面で活躍する関係人口が増える。それを新たな地方の担い手の増加にもつなげたいとの思惑である。登録制度は「地方創生2.0」における目玉政策であり、今後10年で関係人口を1000万人、延べ1億人にするとの目標を立てた。
登録制度の詳細は決まっていないが、関係人口を受け入れる地方自治体側からは地方税収が増える仕組みにつながることへの期待の声が聞かれる。
政府は、都市部と地方の両方に生活拠点を持つ「二地域居住」にも力を入れてきており、登録制度を創出することで流れをさらに加速させようということである。
基本構想は、関係人口の増加策以外でも、政府関係機関や企業の本社機能の移転など東京圏から地方への人の流れを太くするための政策がいくつも盛り込まれた。一方、地方から東京圏への人口流出を防ごうという取り組みも柱となっており、アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)の解消などによって、女性や若者に選ばれる地方を目指すとしている。