懸賞金で3000万円超、優勝賞金で4000万円
加えて、関取になると月給とは別に本場所ごとに「力士褒賞金(持ち給金)」が支給されるようになる。これが各力士の収入を大きく左右する。
各力士は初土俵を踏むと「持ち給金3円」が与えられ、本場所での成績に応じて加算されていく。勝ち越し1勝につき0.5円が加算され、8勝7敗ならプラス0.5円、9勝6敗ならプラス1.5円といった具合に増えていく。負け越しても持ち給金は減らないが、幕下以下では積み上がるだけで実際には支給されず、十両に昇進して初めて、「持ち給金の4000倍」の額が「力士褒賞金」として2か月に1回の本場所ごとに支払われるようになる。
大の里は今場所を持ち給金213.5円(支給額85.4万円)で迎えている。7月場所の大の里には横綱の給料300万円と褒賞金の85.4万円が支払われるわけだが、加えて「懸賞金」もある。取組前の土俵をグルグルと回る懸賞旗は1本につき7万円。協会が手数料1万円を取り、力士の納税のための預かり金が3万円のため、力士の手取りは1本3万円だ(うち2万円は先場所から振り込まれるようになった)。
この懸賞は横綱や大関戦に集中するため上位力士は獲得本数が多くなる。大の里のような人気力士への指名懸賞も多く、今年、先場所までに大の里が獲得した懸賞本数は1110本(手取り3330万円)となる。
3月場所と5月場所での2回の優勝賞金を合わせて2000万円。すべて合わせると6月までの今年の収入はすでに約7000万円に達する計算で、ここから残り3場所の戦いで横綱として優勝賞金や懸賞金を手にすることを考えれば、年収2億円超えも夢ではない。まさに「土俵に埋まるカネ」を手にしたと言える。
ただ、角界のカネをめぐる事情は複雑だ。関連記事『《大相撲「給金番付」大公開》幕内全力士の年収概算一覧 収入激増の横綱・大の里よりも「持ち給金」が多い力士がいる理由』では、幕内力士の最新版「給金番付」とともに、複雑怪奇な力士の収入を詳細解説している。