入籍日を決めたカップル「吉日ランキングを作ってもらった」
AIに重要な“記念日”を選んでもらう人もいる。メーカー勤務の女性・Cさん(31歳)は、入籍日をChatGPTに決めてもらったと語る。
「入籍の日取りを決めるとき、彼となかなか良い日が決められなかったんです。なんとなく、“縁起が良い日”で大安カレンダーを検索して調べたりしたのですが、あまりよくわからないし、2人で一緒に役所に婚姻届を出しに行ける日が大安に重ならなかったんです。
それでChatGPTに『2025年の吉日を六曜、九星、干支などで総合的に見て教えて』『私と彼の思い出のなかで重要な日』などを提示して、そこから吉日ランキングを作ってもらいました(笑)。大安以外にも『天恩日』とか『一粒万倍日』を考慮してくれたり、『2人の運命にとって特別な日』などの意味も考慮して提案してくれたんです。彼に見せたら『別にいつでもいいよ』と即決。AIに決めてもらうのも現代的だし、満足しています」(Bさん)
「AIは中立でもカウンセラーでもない」と警鐘
このように対話型の生成AIを活用し、占いをしたり、人生の決断を委ねたりする人も増えているが、そこに警鐘を鳴らす声もある。大学院で機械学習を専攻し、現在はシステムエンジニアとしてIT会社に勤務している男性・Cさん(35歳)はこう語る。
「ChatGPTは学習データに基づいた、単なる言語モデルにすぎません。提示された結果にスピリチュアルなもの、霊的なもの、運命などを感じるとしても、それは学習データから“もっともらしく”生成された情報に過ぎません。AIは中立的に助言をしてくれる存在でもなければ、カウンセラーでもないんです。
とくに、『占い』は誰にでも当てはまるようなことを言いがち。『当たっている』『的確な評価だ』と感じさせるものです。いわゆる、バーナム効果や確証バイアスが働きやすい。くわえて、AIの仕組みを理解していない人ほど“AIは客観的だ、中立的だ”と錯覚しやすい。『結婚相手を選ぶ』とか『大事な記念日を選ぶ』という選択にAIを利用し、将来的にうまくいかなかった場合、自分で選択しなかったことに後悔が生まれるでしょう。自己決定できない人が認知負荷を下げるためにAIに頼ることが恒常化すると、小さな自己決定にも不安を感じるようになるかもしれないので注意が必要です。AIは、決してあなたの人生に責任を取ってくれません」(Cさん)
急速に精度が上がり、ユーザーも拡大している生成AI。一部の人は “専属占い師”の代わりにしたり、人生の重要な決定に関するアドバイザーとして活用しているようだが、その先に待つ未来が本当に満足いくものになるかどうかは、また別の話だろう。
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