電話をかけてきた業者が注文を受けたと言うのは、売買契約があると嘘を言って相手を追い込む常套句です。実際には身に覚えのないことですから、その業者は条文にあるように健康食品という「商品の売買契約の成立を偽って」、その商品を送り付けて代金の請求をしようとしていることになります。
もし本当に送り付けてきても、前記のとおり売買契約が成立することはないので、あなたには業者に対して代金を支払う義務はありませんし、前記の特定商取引法の定めにより、業者は送り付けた商品の返還を請求できません。
ですので、あなたは返品する必要はありませんし、保管しておく義務もありません。すぐに処分しても問題ないので捨てることもできます。
このように商品を一方的に送り付けて代金を請求するやり方を「送り付け商法」といいます。
今度電話があったときは、改めて注文の事実を否定し、「商品を送られても特定商取引法に基づき処分する」と警告してください。
それでも送ってきたときには、受け取り自体を拒否することも対応のひとつです。
【プロフィール】
竹下正己/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2025年8月14日号