「老後はのんびり田舎暮らし」に落とし穴も(イメージ)
人生100年時代は「老後」が長い。定年後の選択を間違えると、その後何十年にもわたって苦しい生活が続く一方、正しい決断をすれば充実の後半生が待っている。老後の住まいとクルマで「遅咲き老後」と「落ちぶれ老後」を分ける境界線はどこにあるのか──。
田舎に住むか都会暮らしか「地方移住、Uターンともに心が折れやすい」
老後はのんびり田舎暮らしをしたいと望む人は多いが、地方移住には大きなリスクがある。介護アドバイザーの横井孝治氏は言う。
「長年都会で暮らし、地方移住に憧れる人も多いですが歳を重ねて縁もゆかりもない者が移住して地域の文化や風習に馴染むのは難しい。観光客はチヤホヤされますが、住民となると地域への貢献を求められ、地方特有の人間関係の難しさで心が折れやすい」(横井氏)
生まれた土地に戻るUターンも、パートナーが同郷でなければストレスが増すばかりで失敗に終わる可能性が高い。
「結局、出戻る人を何人も見ました。現在住んでいる地域で菜園を借りて土いじりをするぐらいが良いでしょう」(同前)
免許返納か乗り続けるか「車を手放せばタクシー利用でもお釣りがくる」
移動手段として重宝する車だが、歳とともにとっさの判断力は衰えていくもの。万一、車を運転し続けて人身事故を起こしたら、本人も家族も地獄を見る。横井氏が語る。
「車がないと不便な地域でも、タクシーやネットスーパーなどの代替手段は探せばあるはず。それらを見つけてから返納を検討しても良いでしょう」
維持費の面からも返納するメリットは大きい。
「車はガソリン代や自動車保険、車検、税金などを合わせて年間40万~50万円ほどの費用がかかる。毎月3万円のタクシー代を払ってもお釣りがくる計算です」(同前)
免許返納後に受け取れる「運転経歴証明書」を利用すれば、バスやタクシーの利用割引など様々な特典を受けられる地域もあるので活用したい。
* * *
マネーポストWEBの関連記事《【定年後の住まいの最適解】「リフォームorそのまま」「老人ホームorサ高住」「田舎暮らしor都会暮らし」「免許返納or乗り続ける」…天国と地獄の境界線》では、自宅はリフォームすべきかそのままか、老人施設の選び方など、老後の生活を分けるポイントについて詳細に解説している。
※週刊ポスト2025年8月15・22日号