1本のホームランではなく、多くのヒットの積み重ねで得点していく
「本当に“価値ある銘柄”であれば、必ず株価は上昇します。短期で儲けようと思ったらもっと早く売っていたと思いますが、欲をかかずに中長期で保有するつもりでいたからこそ、利益も大きくなったのだと思います」
こうしてsatoさんは2023年に“億り人”の仲間入りを果たし、その年末には資産1.2億円に、そして、現在は2億円にまで増やしている。現在主力で保有しているのは、輸送用機器、小売業、化学、情報・通信、電気機器、サービス、建設業、食品、倉庫運輸関連、卸売、銀行など、多岐にわたる業界から選んだ15銘柄余り、株主優待目的で保有している株を含めると80銘柄余りになるという。
「SNSなどでは、ひとつの銘柄が短期間で何倍にも跳ね上がり、大きく資産を増やしたという話も見聞きしますが、僕は基本的に時間を掛けていろいろな銘柄で利益を出し、それを積み上げていくタイプ。1本のホームランではなく、多くのヒットの積み重ねで得点していくタイプです」
銘柄のクセを見抜くための圧倒的な勉強量
satoさんがヒットを打ち続けられる大きな理由は、その圧倒的な勉強量にある。
「『会社四季報』が発売されると、2~3週間かけてじっくり通読します。読みながら気になる銘柄に付箋を貼っていきます。付箋を貼る銘柄は、『今すぐにでも買いたい』『今すぐは買わないが注目している』『チャートが下がっている』『リスク分散のため少し保有したい』『株主優待分だけ買いたい』など僕なりのマイルールがいくつかあり、付箋の数は300くらいになります。
『四季報』を通読してから次の決算期までは、具体的な銘柄分析から離れて投資に関する書籍を読みます。そして、決算期になると保有している銘柄や注目している銘柄の決算資料を読み込む。もちろん、適時開示情報は毎日目を通します。こうしたことを何年か続けていると、『株価が業績に連動する銘柄』『業績は変わらないのに何らかの理由で株価が上下する銘柄』など、銘柄の“クセ”が見抜けるようになるのです」
投資を始める前から「メモ魔」だったというsatoさんは、「重要だと思ったこと」「気になったこと」「疑問に思ったこと」などを大学ノート版の「投資ノート」に記している。その数は39冊になったという。
「僕は大学まで陸上競技に打ち込んだ“体育会系”で、投資はもちろん経済についての知識もまったくありませんでした。そんな僕でもここまで来られたということは、頑張れば誰でもできるということだと思います」
ハイレックスコーポレーションのような、理論的には「負ける理由がない銘柄」で大きな利益を出したsatoさんは、現在どんな銘柄に注目しているのか。関連記事『【元手95万円から資産2億円に】元レスキュー隊員“億り人”satoさんが注目!“理論的には負ける理由がない”最新2銘柄は東証スタンダード市場に潜んでいる』で詳しく紹介している。
【プロフィール】
sato/中学から大学まで陸上競技に打ち込み、大学卒業後は消防士に(レスキュー隊員)。結婚が決まったことを機に2013年にデイトレードを始め、2014年から2年半はグロース投資、2017年からはバリュー投資に転換し、2023年に“億り人”の仲間入りを果たす。現在資産は2億円。2024年3月、消防士の現場勤務から日勤への異動を機に41歳でFIRE、専業投資家となった。短期売買は行なわず、中長期的に“必ず勝つ投資”で資産を増やす。
公式X:https://x.com/sato0199e
取材・文/鈴木洋史