ビジネスシーンを想定した青山商事の「ハーフパンツ」全身コーデ
約20年で6割減、スーツ離れの中で進む二極化
クールビズは、働く人の夏の装いを変えてきた。時代の流れとともに働き方の多様化も加わり、ビジネスウェアの「脱スーツ」の流れは、夏だけではなく日常的になりつつある。
総務省の「家計調査」によると、スーツ(背広服)の支出額は2000年の1万118円から2024年には3892円まで減っている。実に約20年で6割減。“スーツ離れ”は深刻だ。それでもどん底だったコロナ禍の2021年の2721円から見れば、やや回復を見せている。
中村氏は、「かつてはビジネスウェアとしてスーツを選ぶ方が主流でしたが、スーツだけでなくカジュアルウェアを選ぶ方が非常に増えてきました」と状況を受け止めつつも、「市場の二極化」を指摘する。
「本格的でこだわりの1着を求める方も一定数いらっしゃる状況です。カジュアルアイテムとスーツで需要が分散していますが、こだわりの1着として、オーダースーツを選択される方が増えています。ビジネスウェアは今後、本格的なこだわりの1着を求める方と、より機能的でカジュアルなものを求める方と、さらに二極化が進んでいくと予測しています」
二極化する市場に対応するため、スーツだけでなく「スーツに代わるビジネスウェア」にも注力していく意気込みを見せる。
「今までビジネスウェアに力を入れて取り組んできた企業だからこそ、スーツだけでなく、スーツに代わる、機能的でビジネスシーンに適したデザインやシルエットなどを兼ね備えたビジネスウェアをしっかり提案していきたいと思います」
時代とともにビジネスウェアに求めるものも変化している。スーツを着る人が少なくなっても、培ってきたスーツの製造技術や製品化力はカジュアルなビジネスウェアづくりに生かされているようだ。