慰謝料をもらうためには?(イラスト/大野文彰)
結婚をする予定で交際しているカップルの片方の浮気が発覚。正式な婚約をしていなくても、浮気をされた方は慰謝料を請求することができるのか。実際の法律相談に回答する形で弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
娘には結婚の約束をして2年ほどつきあっている彼氏がいます。ところが2か月ほど前に彼の浮気が発覚。半年前から浮気をしていたと知り、娘は別れるつもりで、「結婚の約束をしていたのに裏切られたから慰謝料を払って」と言いました。しかし、彼は「正式な婚約はしていないから払わない」と言います。
結婚の約束をしていたのに慰謝料はもらえないのでしょうか。(福岡県・59才・主婦)
【回答】
婚約が成立していたとすれば慰謝料請求も可能だと思いますが、問題は婚約を本当にしていたといえるかです。いうまでもなく、単に交際していただけでは婚約にはなりません。
婚約は、結婚しようという合意で成立します。しかし合意が成立したといっても結婚の場合の婚姻届に相当する制度はないので、そのことを証明する客観的な事情が必要です。
彼が「正式な婚約はしていない」と言うところを見ると、少なくとも結納をする、婚約指輪を渡すといった、婚約したことを象徴するような行為をしていないのだと思います。例えば、互いの親に会って「結婚する」と報告したり、共通の友人やそれぞれの職場などに婚約者として紹介することをしていますか? こうした行為をしつつ2年間交際していれば、婚約を装う別の目的がない限り、婚約が成立したといえそうです。