老後資金の預け先をどう選ぶか
いま、金融業界は数十年ぶりに“金利がない世界”から抜け出し「預金獲得競争が再び過熱している」という。そこで狙われるのが、シニアマネーだ。
「マイナス金利時代は、銀行にとって個人の預金は、収益を生まずにむしろ重荷であったのですが、“金利がある世界”になると、預金を持っておけば利益が得られる状況となってきた。個人預金を獲得しようという銀行本来のビジネスモデルが20~30年ぶりに復活してきた中で、潤沢な資産を持つシニア層は格好の対象です」(経済ジャーナリスト)
シニア向けサービスが充実している銀行
銀行が個人口座獲得に力を入れるなか、老後資金を預ける銀行はどう選べばいいのか。ファイナンシャルプランナーの西山美紀さんが言う。
「シニア向けのサービスが充実している銀行はいくつかあり、たとえばSBI新生銀行には『Bright 60』というサービスがあり、60才以上なら無条件で、約2倍の普通預金金利、他行への振込手数料の無料回数が多いなど最上位ステージの特典がつきます。
サービスよりも重視したいのはやはり使い勝手です。先日、三菱UFJ銀行が1年物の定期預金金利を1%に引き上げるキャンペーンを打ち出し話題になりましたが、金利の高さだけでなく、日常使いをするなら家の近くや買い物先にATMがあるかどうかの方が大事です。いくら金利が高くても、家の近くにATMがなくて他行のATMを使うことになり、引き出すたびに手数料がかかるのは損といえます」
ファイナンシャルプランナーの坂本綾子さんが言う。
「いま注目しているのはイオン銀行です。イオン系列のスーパーなどにATMや店舗があって使いやすいことと、営業時間も銀行にしては長いのが特徴。買い物のついでに利用できるのは女性にとってメリットが大きいと思います」
都市銀行のATMは今後ますます減ることが予想される。
「今後はコンビニに集約したり、銀行同士がATMを共同運用するといった流れが加速するでしょう。
『ここに○×銀行のATMがあって便利だから安心』と思っても、数年後にはなくなっている可能性があります」(前出・経済ジャーナリスト)