現役時代と定年後では銀行の選び方も変わってくる(イメージ)
老後もお金に困らず、豊かに暮らすために、資産を増やす方法はいくつもある。だが、投資にしても年金運用にしてもリスクもあれば、なにより仕組みがわかりにくくて面倒なのが本音だろう。だったら銀行に預けておいて、保険に入っていればいざというときは最低限安心──果たして本当にそうだろうか。選び方を間違えれば、老後の運命は大きく分かれてしまう。
2年前に夫が定年退職したという群馬県在住の主婦のAさん(63才)が言う。
「公務員だった夫は、働いていたときから生活するには充分なお金をもらっていて、定年までに住宅ローンも払い終わったし、3人の子供も独立して、老後は安泰だなと思っていました。
退職間近で、ずっとおつきあいしていた銀行の担当さんから退職金の運用プランを紹介されたんです」
Aさんの夫は、子供や孫のことも考え、少しでもお金を増やした方がいいと退職金を預け入れることにしたという。金融商品に疎いAさんは、“夫任せ”だった。
「ところがこの春、アメリカでトランプさんが大統領になって株価が暴落したことで、一時的に評価額がどんどん下がって資産が目減りしてしまいました。いまは復調しましたが、改めてリスクの高さを感じましたし、あんな思いはもうしたくありません」
就労していて定期収入があり、子育てや家のローンなど生活費がかかっていた現役時代と、年金収入がメインとなるシニア以降では、銀行をどう選ぶか、視点が変わると話すのは、ファイナンシャルプランナーの西山美紀さんだ。
「企業に勤めていたら、給与の振込先が大手銀行であるケースは多いですが、いま、いわゆるメガバンクなど都市銀行はATMの数をどんどん減らして、各種手数料も上昇気味です。一方、コンビニやスーパーなどのATMは増えていて、日常の中でお金の出し入れをするなら出金手数料がかからない銀行も追加で検討することがまずは大切です」(西山さん・以下同)