契約から3か月以上経過していてもあきらめることはありません。電力会社からもらった書類が法定文書としての要件を備えているかがポイントになります。というのは、交付された文書に法が求める記載事項のうち重要な事項が欠落していれば、文書交付が未了としてクーリングオフができるからです。
裁判事例に、クーリングオフができることを赤字枠の中に赤字で書くべきところを黒字で書き、ほかにも消費者の権利を守るうえで重要な事項を省略した文書を渡した業者に対して、法定文書の交付がされていないとクーリングオフが認められたものがあります。ですので慎重に書類を見直してみてください。
また、居室で使う電気に関して管理会社からの指示に従うことは、居住という重要な利益を守るために必要な事情であり、消費者契約法でいう重要事項です。この重要事項について、営業スタッフが管理会社の依頼だと嘘を言い、誤信によって締結させられた契約は同法により取り消すことができます。その効果はクーリングオフよりは弱いですが、騙されたことを知らない間に消費した電気代を業者が請求することはできません。
受取書類を持参して消費者センターなどで相談することをおすすめします。
【プロフィール】
竹下正己/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2025年10月9日号