在宅介護と施設入居では費用にどれだけ差があるか(写真:イメージマート)
シニア世代では、給与や年金など毎月入ってくる金額の見通しは立っても、出ていくお金はわからない。特に病気やけがなど、いつか“もしものとき”がやってきたら、支出は増える一方だ。でも、「いくら出ていくのか」、そして「それを補う手段」さえ知っておけば、備えるのはそう難しくないはず。そこで老後のリスクマネーに関するリアルケースを紹介する。【前後編の後編】
在宅介護にすると約300万円浮くことも
都内在住の女性・Cさん(72才)は、夫と長男夫婦と同居中だった。急激に物忘れがひどくなり、息子のすすめで病院を受診すると、認知症と診断。要介護1の認定を受けた。
「身の回りのことはほとんど自分でできますし、いまのところは自宅にいます。でも、このまま認知症が進んだら、家族に迷惑をかけてしまうだろうし……ゆくゆくは施設に行くことも考えています」(Cさん)
自宅での介護の場合は、訪問サービスか通所(デイケア)とショートステイの利用が一般的だ。プレ定年専門ファイナンシャルプランナーの三原由紀さんが話す。
「介護保険が適用されるため、要介護1で訪問介護サービスを7~8時間利用すると自己負担は約718円(東京・足立区の場合)。同様にデイケアでは841円です。ショートステイは、基本料金に滞在費、食費、日用品費などを合わせて1日4000円前後となります」(三原さん・以下同)
週3回の訪問介護またはデイケア、週2回のショートステイとすると、月約4万円になる計算だ。移動費なども含めると、総額で月約5万円前後かかるとみていいだろう。

