庶民には手が届かなくなってしまった都内マンション(写真:イメージマート)
東京五輪を境に下落に転じると指摘されることの多かった東京都の不動産価格。しかし、五輪後も地価上昇は続いている。不動産事業プロデューサーでオラガ総研代表の牧野知弘氏に、その背景と今後について聞いた。
牧野氏は2019年1月に著書『街間格差』を上梓している。当時は東京五輪後に「実需」がどう変わっていくのかを重視してまとめたというが、五輪後に起きた不動産価格上昇には「投資」のファクターが大きいと話す。
「五輪後も東京の地価、不動産価格はとんでもなく上がってしまったわけですが、実需が集中して上がったという要素より、完全に投資マーケットの要素が大きい。多くの区分所有マンションが投資商品に姿が変わってしまいました。
これは日本が延々と低金利を続けていたことに加え、コロナが重要なファクターになった。コロナの時に特別支援や融資で大量にお金を撒いたわけです。日本だけではなく、全世界で金融緩和をした。その後、欧米が利上げをしてインフレ対策をしたのに対し、日本だけほとんど利上げが行なわれていない。
その結果、生まれた金利差で2021年頃から円安が顕著になり、超円安となった。コロナ前は1ドル110円だったのが、150円を超える水準になり、個人、ファンドなど様々な外資マネーが大量に日本へ入ってきた。それによって、われわれ一般庶民が住居として買おうとしたマンションが、投資の商品になり、庶民は手が届かなくなったのです」(以下、「」内コメントは牧野氏)
