閉じる ×
閉じるボタン
有料会員限定機能の「クリップ」で
お気に入りの記事を保存できます。
クリップした記事は「マイページ」に
一覧で表示されます。
マネーポストWEBプレミアムに
ご登録済みの方はこちら
小学館IDをお持ちでない方はこちら
ビジネス

盛り上がってきたーーーーー!!!!社員が一斉に「ゾス飲みダンス」を踊る動画を批判する人たちが見落としがちな、企業にとってのポジティブ効果

チームの結束が個人の限界を超える力になり得る

 今回の動画騒動をきっかけに、営業主体の会社におけるチームビルディングの重要性を考えてみたい。営業の仕事は、数字を追う厳しい現場だ。例えて言うなら、マラソンを走るようなもので、一人で走り続けるのは疲れるが、仲間と一緒に走れば励まし合いながらゴールを目指せる。ゾス飲みダンスのようなイベントは、社員の結束を高め、モチベーションを保つ役割を果たす。

 実際、海外の研究でも、この点が裏付けられている。論文「組織におけるチームビルディングとパフォーマンス:問題の探求」(アダ・マック・オジグボ、イデグベソル・マリヤム、チグボ・ドナトゥス・ンギゲ、2020年)では、チームビルディングの効果について次のように述べられている。

「チームビルディングは、組織がチームベースの構造を活用して生産性、収益性、サービス品質を向上させるための重要なトピックである。この時代に増大する競争の中で、管理者はチームワークの重要性をこれまで以上に認識している。チームは個人の出力を協力によって拡大する。チームで働く従業員は、組織の基準となる。チームベースの改善努力は、企業の成果を向上させる。研究によると、チームで働く従業員は個人より多くの出力を作れる。

 チームビルディングは、組織に多くの利益をもたらす。例えば、相互依存、仕事満足度の向上、関係改善、対立解決、効果的なコミュニケーション。低コスト、高生産性、品質改善、速さ、イノベーション。決定プロセスの改善、生産性向上、従業員満足度の増加、チーム機能の改善、人間関係の強化、組織的コミットメントの向上。

 しかし、チームビルディングの効果は混合的で、時には非有意である。チームビルディングは、1980年代から広がり、柔軟性、決定の加速、タスク配分、目標集中、モチベーションとシナジーの増加をもたらす」

 この引用からわかるように、チームビルディングは組織のパフォーマンスを高めるものの、課題も伴う。営業部門では、特に感情の共有が重要だ。チームビルディングの利点として、生産性向上や満足度の増加が挙げられるが、批判的な研究では効果が曖昧な場合もある。しかし、全体として、チームの結束が個人の限界を超える力になり得る。

 普遍的に見て、ゾス飲みダンスのような社内文化は、現代の働き方を問い直す。多くの会社で、社員は孤立しがちだ。例えて言うなら、森の中の木々がバラバラに立っているようなものだが、根でつながれば森全体が強くなる。

 私はこんな踊りはできない。たぶん、グローバルパートナーズの社内文化を知っていたら求人に応募することもないだろう。しかし、営業の現場では、ノリがチームの結束を固め、売上を伸ばす。批判者たちが無視するこの効用は、会社を活気づける力だ。グローバルパートナーズの取り組みは、そんな可能性を示しているかもしれない。読者諸君も、自分の職場で小さなイベントを試してみてはどうか。きっと、日常が少し明るくなるはずだ。

【プロフィール】
小倉健一(おぐら・けんいち)/イトモス研究所所長。1979年生まれ。京都大学経済学部卒業。国会議員秘書を経てプレジデント社へ入社、プレジデント編集部配属。経済誌としては当時最年少でプレジデント編集長就任(2020年1月)。2021年7月に独立して現職。

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。