小売・外食業界の対応は
人手不足でスキマバイトが重宝されるなか、企業はこの難問にどう対応するのか。タイミーに掲載された求人件数が多く、FC展開する大手のコンビニ・飲食チェーン8社に尋ねた。
まず、FC加盟店のスキマバイト利用を認めたうえで、適切な対応を取ることを示唆する企業が複数あった。
「本部としても加盟店に対し、関係法令に基づくキャンセル規定をはじめ留意事項等に関するご案内を定期的に配信するとともに、店舗側の問い合わせ先として各社のサービスセンターや社労士電話相談等のご活用も案内しています」(セブン‐イレブン・ジャパン広報部)
「企業側都合によるキャンセルも含め、利用状況については国の指針や法令に従い、適切に対応してまいります」(ロイヤルホールディングス・マーケティング本部)
「利用については利用規約に従って、適切に対応していると理解しております。雇用契約は店舗とワーカーとの間で結ばれており、店舗側のキャンセルなどは認識しておりません」(ファミリーマート広報部)
一方で、「利用・管理についてはFC加盟店ごとの各々の法人にお任せしている」(グルメ杵屋)とする回答もあり、プレナスと松屋フーズホールディングスはキャンセル事例がないとした。ミニストップは回答を辞退し、日本マクドナルドは期限までに回答がなかった。各企業がそれぞれの反応を示すなか、松井弁護士はタイミーの対応についてこう指摘する。
「未払い金の対応を検討する企業が過去の履歴の開示を求めても、タイミーが個人情報保護法などを理由に情報を出さない例があったと聞いています。特に問題なのは、先行して大企業や付き合いの深いと思われる企業には開示しつつも、一部の企業には開示を拒んでいた点です。一部の企業と労働者を軽視するかのようなタイミーの対応には問題があると考えます」
タイミーに今回の訴訟に対する見解や、キャンセル履歴の開示について尋ねたが、期限までに回答はなかった。今回の1万4000円訴訟で、過去の未払い賃金が請求できるとの司法判断が下されれば、その影響は大きい。利用企業、スポットワーク事業者を含めた業界全体が、改めて対応を求められることになりそうだ。
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※週刊ポスト2025年11月21日号