「自分の投資スタイルに合った金融機関を探した方がいいです」と語る八木エミリーさん
「不動産投資」と聞くと、家賃収入という不労所得が得られるプラスのイメージがある一方で、始めるにあたってのハードルは高そうに感じられる。とりわけ物件購入に際して金融機関からの融資が必要になることをめぐる苦労は多そうだ。
物件を見つけて不動産融資を受けようとする際、金融機関はその不動産の価値を評価し、返済できなくなった時に備えて抵当権を設定するが、その評価方法は「積算法」と「収益還元法」がある。積算法は、土地と建物の費用(原価額)を積み上げて算出し、主に実需や担保価値を重視する際に使われる。収益還元法は、将来得られる「収益」から算出するので、投資用物件の評価や売買の判断材料として重要視される。
不動産物件を買い増したいのなら積算法
『元証券ウーマンが不動産投資で7億円』(ダイヤモンド社)の著者である不動産投資家の八木エミリーさんは、積算価格と収益還元価格のどちらを重視するかは金融機関ごとに異なり、投資家が融資を受ける際もこの点がポイントになると話す。
「収益還元法は、対象の不動産が将来生み出すことが期待される収益をベースに不動産の価値を算出します。アパートや賃貸マンションなど、投資物件を査定する時に使われることが多いのですが、『その不動産にどれだけ“稼ぐ力”があるのか』という観点から算出するため、積算法で評価した場合は価格が高いのに、収益還元法では低いということがあります。また、収益還元法での評価を重視する金融機関の場合、『利回りが何%』『キャッシュフローが何%』といった数字で評価していくのですが、この方法だと融資の限度額が年収の最大10倍くらいになるのが一般的です。
一方、積算法での評価を重視する金融機関は、たとえば1億円の価値のあるアパートを8000万円で購入できたとか、あるいは購入時より物件の価格が値上がりしている場合、含み益は保有資産としてカウントされ、融資の枠がその分上積みされます。積算価格の高い物件は担保価値が高いので、2棟、3棟と買い増していきたいのなら積算価格を重視する金融機関を探しておくべきです」(以下「」内は八木さんのコメント)
