もがみ型護衛艦(撮影/菊池雅之氏)
側面防御用の鉄鋼製スカートの下にはゴム製のスカートをはき、ステルス性能も高めている。
航空自衛隊の最新鋭機と言えばステルス性の高い第5世代戦闘機のF-35だが、これは米国から購入している。日本は日米共同開発したF-2戦闘機に代わる第6世代の戦闘機を英国、イタリアと共同開発している。
「開発目標は数に勝る敵に対する高度ネットワーク戦闘を可能にし、ステルス性をさらに高めること。赤外線センサーなどを用いて計測・データ化する高度なセンシング技術を備えた戦闘機です。これに合わせて、日本は有人の次世代戦闘機とネットワークを結び、連携して敵を迎撃する自律型の戦闘支援無人機(UAV)の開発にも取り組んでいる。敵に近づいて戦う無人機や離れたところから電子戦を仕掛ける無人機など様々なタイプの無人機と組み合わせて戦う能力がこれからの防衛装備には必要になるという考え方です」(井上氏)
新型ミサイルの開発・配備も急ピッチだ。敵艦船のミサイルの射程圏外から反撃できる「スタンド・オフ・ミサイル」など射程1000~1500キロの巡航ミサイルの配備は今年度中に始まる予定で、防衛省は来年度から複数の対艦ミサイルの弾頭にAIを搭載し、互いに通信しながら迎撃する制御システムの開発に乗り出す。
さらにその先の兵器として、10年をかけて電気的に弾丸を極超音速で発射するレールガンの開発を進め、今年4月から試作した砲台を海自の試験艦「あすか」に搭載して評価試験を行なっている。発射速度は火薬式の2倍近い秒速2500mに達した。
また、艦船や軍用車両に搭載して敵のミサイルや砲弾、無人機を迎撃する高出力レーザー砲の研究開発も行なっている。2023年には試作した100kワットの出力のレーザー砲を迫撃砲弾に照射して誘爆させる実験に成功した。いずれも各国が開発にしのぎを削っている技術だ。
※週刊ポスト2025年11月28日・12月5日号
