日本の防衛技術はどれほど進化しているのか(左から「たいげい型潜水艦」、「10式戦車」。撮影/菊池雅之氏)
対米公約で防衛費が大幅に増額され、防衛産業は“特需”に沸いている。高市早苗・首相が防衛装備輸出の規制を緩和し、世界に売っていく姿勢を見せるなか、日本の兵器を改めて見ていくと「専守防衛」を国是とする日本に、他国が欲しがり、恐れる兵器や装備・防衛技術が数多くあることがわかった。具体的に解説する。
世界一の性能を持つ潜水艦
まずは陸海空それぞれの自衛隊の高性能装備を見ていこう。
「世界一の性能」を持つとされるのが海上自衛隊のたいげい型潜水艦だ。
たいげい型潜水艦(撮影/菊池雅之氏)
そうりゅう型の11・12番艦に世界で初めてリチウムイオン蓄電池が実験的に搭載され、高い効果が得られたことから、新動力潜水艦としてたいげい型が建造され、現在4隻が就役。航空自衛隊幹部学校講師を務める軍事ジャーナリスト・井上和彦氏がその能力を語る。
「たいげい型はGSユアサが開発したリチウムイオン蓄電池を搭載し、動力はディーゼル電気推進方式。通常動力型潜水艦では静粛性、攻撃能力とも世界一と言っていい。高性能吸排気装置で隠密性を高め、光ファイバーを用いた新型ソナーシステムで探知能力も高めた。小泉進次郎・防衛相は日本の原子力潜水艦保有について『タブー視せずに議論する必要がある』と発言したが、日本周辺海域の防衛ならたいげい型で十分相手国には脅威となっています」
そうりゅう型潜水艦(撮影/菊池雅之氏)
たいげい型に配備予定なのが最新型の18式魚雷だ。音響センサーや磁気でデコイ(囮)と敵艦を識別し、船体の真下に潜り込み爆発させるアクティブ磁気近接起爆装置を搭載。それにより魚雷一本で大型艦船を航行不能にできる。さらに潜水艦発射型対艦ミサイル(ハープーンミサイル)も搭載されている。
護衛艦では2022年に就役した新型FFM(多目的フリゲート)のもがみ型が世界から注目されている。レーダーの反射率を抑えた凹凸の少ない独特な形状によりステルス性能を向上させた最新鋭護衛艦だ。特徴的な丸太型の1本マストも、従来はやぐら型で乱雑に配置されていた数多くのアンテナやレーダーを統合したもので、複合通信空中線NORA-50(通称ユニコーン)という世界最新鋭の装備だ。オーストラリアへの輸出(改良型を共同開発)が決まった。


